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ゆっくり色んなことをお互い話した。話してる間も渉は私の手をぎゅっ、と握ってくれていた。
う「…あ、もうこんな時間」
渉がふと腕にやった視線の先には、腕時計。
元々大学が終わって渉とあった時点で6時を過ぎていたものの、今時間は8時過ぎ。さすがにもう帰らなければならない。
A「ほんとだ…」
う「今日は帰るか」
A「そうだね、またゆっくり」
う「じゃ、俺払うから、先いって待ってて」
A「えっ!いや、せめて割り勘で…!」
う「はぁ…何言ってんの。女子に払わせるわけにはいかねぇだろ」
A「でも……」
渉は、私の様子を見て片眉を下げて困った様な表情をするも、すぐにレジへすたすたと歩いていった。
A「えっ、わた__…」
小走りで追い付くと、渉の指が唇に当てられた。
びっくりして思わず渉の方を見ると、優しい顔で外で待ってて、と言われた。
そのまま頭に手が置かれて、ぽんぽん、と優しく撫でられる。その行動に何も言えなくて、渉の言う通り、お店のドアを押して外へ出る。
店内との温度差にじわりと汗が滲むも、渉のことで頭はいっぱいだ。
A「っ、なにあれ」
ただ、渉の手が唇に、頭に触れただけなのに。
(昔頭を撫でたり…とか同じ様なことあったし…そういう要領だよ)
これは一時の気の迷いだ。たまたま同じ電車に乗ってて、たまたま再開した渉が、前と雰囲気が違ってて、ちょっとかっこよく見えただけだ。
う「Aおまたせ……えっ」
渉の方を見た私の顔はきっと真っ赤だ。
う「……大丈夫?顔真っ赤だけど」
A「っ………」
A「なっ、なんか、温度差激しいな〜って!蒸し暑いっていうか!」
大分苦しい言い訳だけど、大丈夫かな…?
う「…うん、そうだね」
A「…?」
私が言葉を発したあと、一瞬悲しそうな、でも笑ってるような、複雑な表情をしていた。
A「渉…?」
う「…あ、あぁ、ごめん、何?」
A「いや別に…ていうか、渉の家ってどこ」
う「俺ん家は、実家から徒歩10秒のとこ」
A「それ一人暮らしする必要ある?」
う「ないかもな、で、Aは?」
A「ええっとね、最近できたとこ」
う「そんなこと言われても分かんねぇよ、最近できたとこなんていっぱいあるだろ」
A「そうだね〜w」
(さっきの表情は気になったけど、今は普通だし、何も言わない方がいいのかな)
う「もう暗いし送るよ」
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 千衣さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年5月25日 19時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - 蝶朱さん更新楽しみに待ってまーす! (2020年5月25日 18時) (レス) id: 831be97d67 (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!私も何とかウイルスのせいで休校です笑 そんな風に言ってもらえて嬉しいです!更新頑張ります! (2020年3月3日 16時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - んんん尊いッ 何とかウイルスのせいで!コロナ何とかのせいで!←学校がないから…こういう小説読めるのが1番の幸せです…マジで作者さん生まれてきてくれてありがとうございます← そして更新ファイトです! (2020年3月3日 0時) (レス) id: 9cddad8678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝶朱 | 作成日時:2019年11月18日 16時