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いつの間にか寝てしまっていて、はっ、と目を開ければ、渉が心配そうにこちらを見ていた。
う「っ、………大丈夫?」
A「う、ん…大丈夫」
う「………ごめん、ほんと」
A「………」
気まずく、張り詰めた空気が流れる。
う「なぁ、A、伝えたいことが、あって」
そのあとの事はなんとなく想像できた。
う「…Aのことが、好きだ、ずっと前から」
昨日、遠のく意識の中何度も言われた言葉。
『好き』
『愛してる』
でも、その次の言葉は、予想外だった。
う「…でも、そうだよな……無理、だよね
もう、こういうことしちゃったからさ、……俺、Aと関わらないようにする、から」
意味がわからなかった。
関わらない、ようにする…?
A「……え」
う「こんなことした奴となんか、もう会いたくないだろ」
遠回しに、私とは一切関わらないようにすることを言っているのだろう。
A「わ、たる…?」
う「酒に酔って、それをいい事におまえのこと抱いた、意識がちゃんとしてたわけではないけど……むかしから」
むかしから…?
A「…どういうこと…?なんで?」
すると、渉は呆れたように笑ってこちらを見る。
普段とは違う、どこか冷たい目。
う「…ははっ、下心丸出しだよな…簡単に言えば、Aとやりたかった、昔からずっと、A見る度にきつかった。…最近再会して、Aが益々大人っぽくなってるから尚更我慢できなかった」
そんなの、知らない。
そんな渉、知らない。
う「…幻滅したよね?…Aには悪いけど、俺、そんな良い人じゃないから。」
そうやって冷たい目で私を上から下までじっ、と見る。
鋭い視線に思わずびくりと身体を揺らす。
う「…ごめん、Aにとっては単なる幼なじみかもしれねぇけど、……俺だって立派にオトコだから。
…他の男と同じ。それなりに欲だってあるし」
う「じゃ、俺帰るわ、このこと…俺の事は忘れて
…お幸せに。」
そう言ってさっさと玄関先に向かう渉。
(待って、)
A「渉、待って…」
返事はなく、何も気にとめず靴を履く渉。
急いで走って玄関のドアに手を掛けた渉を後ろから抱き締める。
う「…っ、俺、外出たいんだけど」
A「やだ…私のこと好きなら私の意見くらい聞いてよ」
う「聞きたくない、Aは俺の事なんか__」
A「ばか!」
部屋に私の声が響く。
渉が私の方をゆっくりと向く。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 千衣さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年5月25日 19時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - 蝶朱さん更新楽しみに待ってまーす! (2020年5月25日 18時) (レス) id: 831be97d67 (このIDを非表示/違反報告)
蝶朱(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!私も何とかウイルスのせいで休校です笑 そんな風に言ってもらえて嬉しいです!更新頑張ります! (2020年3月3日 16時) (レス) id: 454b44bd04 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - んんん尊いッ 何とかウイルスのせいで!コロナ何とかのせいで!←学校がないから…こういう小説読めるのが1番の幸せです…マジで作者さん生まれてきてくれてありがとうございます← そして更新ファイトです! (2020年3月3日 0時) (レス) id: 9cddad8678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝶朱 | 作成日時:2019年11月18日 16時