32.大学一年生、夏。 ページ33
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「なんだか雰囲気が柔らかくなったみたい」
「えっ...メイクが薄くなったからかな」
「んもー、そうじゃないよ」
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卒業式ぶりの再会を喜んだら
照りつける日差しから逃げるように近くのカフェに入った。
涼しい店内で喉を潤したら、女子の会話は弾むばかりで。
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「結婚!?」
「...うん」
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おめでとうって言ったら、ありがとうって。
目の前で顔を赤らめる彼女はかわいいにもほどがある。
いや、事情が事情だから限られた人しか知らないだけで
自分はもう四ヶ月くらい前から既婚なんだけど。
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「プロポーズの言葉は!?」
「ええと...」
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ごにょごにょと目を逸らして言う姿がとてもかわいい。
世間を賑わせるイケメン探偵が
彼女にはそんなこと言うんだって驚く。
ちなみに、私はその彼......工藤新一と話したことはない。
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「来年の春に結婚式を予定してて...」
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桜が自慢の式場を選んだのだという。
二人の思い出の花だそうだ。
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「どんなドレスがいいかなぁ...蘭ちゃんならなんでも似合うだろうなぁ」
「まだ気が早いよ」
「最高の花嫁にするための準備に、遅いも早いもないって!」
「...新一も同じこと言ってた」
「...うわぁ」
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またまた顔を赤くした蘭ちゃんが
さっきよりもちょっとだけ乗り気になって
ブーケとかも悩むねって呟いた。
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「Aちゃんはどんな花がいい?」
「え?ウチ?」
「ほら、お花に詳しかったでしょ?」
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投げかけられた問いを答えるのに
考える時間はいらなかった。
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「ブルースター」
「素敵!まさに結婚式のブーケって感じだね!」
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人生の大切なシーンで使われる淡いブルーの小さな花。
五枚の花びらが輝く星のようだと名付けられたそれは
まさに...花嫁のための、幸せの青い花。
そして、私の愛してやまない色。
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「......ふふ。そっかそっか」
「へ?」
「ううん、なんでもない......あ、私のブーケはどんながいいと思う?」
「やっぱり二人の思い出の花なんだから......あ、ねぇ...紙とペン............」
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純白のドレスに身を包んだ蘭ちゃんが
夢の詰まったこの落書きを両手に携える近い将来を
私はまだ知らない。
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名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました! (2020年3月29日 3時) (レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます!新作も引き続きよろしくお願いします! (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます!私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…!大好きです! (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2018年12月27日 15時