ゲーム ページ9
NO side
「ゲームのルールはいたって簡単！
主をその道から完全に外してみせろ！
そのための手段はお前らに任せる！
それこそ暴力だろうが、お前らが言う、対話でもいい！
だが…主はそう簡単に攻略できねえよ？
ゲーム時間は二十分！
この砂時計の砂が落ちきったらそこで終了！
さあ…スタートだ！」
砂時計を落とすと、床に綺麗に落ちた。
「…おい黒、ふざけてんじゃねえよ…
私がいつ、その道に踏み込んだって…」
怒気を含む声で顔を上げずにそう聞いた。
黒は不気味な笑みを浮かべ、答える。
「…生まれながらに、だ、主
生まれながらに期待をかけられ！
プレッシャーをかけられ！
邪険にされて敵ばかりだからこそ！
主はこの道に手を出してしまったんだぜ！？」
「うるせえ黙れ！」
強気に見せかけたが、その肩は震えていた。
「……さあさあ！ゲームは始まってるぜ！？」
黒は教卓に腰掛ける。
だがそれでも動かない彼らにイラつき、黒板を思い切り叩いた。
「…なっにちんたらしてんだよ！
言っとくが俺は主が死のうが生きようがどーっでもいい！
主は今だけの入れ物だからな！」
そう言った黒の頭に何かが当たった。
「……あ”？」
「ひっ、ぃ…Aっ、を！殺すな！」
砂野が瓦礫の破片を投げたのだ。
敵意にも殺意にも当たったことのない彼女は涙目になりながらも黒を睨みつけた。
「…っははは…あー…邪魔だから先に…」
ゆらりと動き出す黒。
咄嗟に守ろうと二人は飛び出すがこの距離では間に合わない。
黒はナイフを取り出し、大きく振りかぶった。
肉を切る音と血飛沫。
呻き声と床に座り込む音。
「っあ”…ってぇ…」
「…A！なんでかばっ、」
「バッ、カヤロウ！」
痛みに顔を歪ませながらも叫ぶ。
「…お前が、死んだら、元も子もねえ…
お前と会うために、頑張ったつーのに…っ、」
「あああぁあ！話さないで！」
制止も聞かずに、話し続ける。
「…あの日っ、お前が苦しんでること、
痛かったこと、気づかないふりをしたこと…
は、全部めんどくさくて…ぅ、ああ答えたら、
お前がそう出るって、わかってたのに…っ、
止めなかった…ことっ、！
ずっと…ぁ、後悔、してたっ、」
途切れ途切れになっていく声と言葉に、彼女は言葉をかけられなかった。
彼女にもたれかかり、浅くなっていく呼吸と活動を停止し始める体にもう、どうすることもできなかった。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年7月27日 14時
