【歌い手】森の奥には食人鬼さん。3rd

食人鬼様が102人〜。 ページ26

『歌詞さん、何があったかわからないけどわかりあえないって……。』

「そのままの意味だよ。君と、僕とでは根本的に皆から受けてきた態度が違う。」



何を言っているのだろうか。

“君と、僕とでは皆から受けてきた態度が違う”？




『そんなことないと思いますけど。』


僕だって、クラスの皆から恐怖とか憎しみとか、そんな目で見られてた。


今思い出すだけでも怖くなるから。



それなのに歌詞さんとは違う？ふざけんなって言いたいけど、僕は歌詞さんのことを何も知らないから何も言えない。


「いーや、そんなことあるんだよ。期待の眼差しを送られるのってどんな気分かな？皆に頑張れ！って言われるのってどんな気持ち？……そうゆう奴を見ると憎しみと嫉妬が沸いてくるよ。身近な奴は特にね。」



………僕を見る歌詞さんの目が変わっていく。
完璧に隠されていたその憎しみが、見え隠れして露になった。


灯油さん、まふにはなかった憎悪を感じる。



あの2人とは根本的に違うものが１つ。


僕の身のために突き放すのと、自己防衛のために突き放すの。

これは前者が灯油さん、後者がまふ。
歌詞さんは







“直接的な恨み”。



その言葉が頭に浮かんだ瞬間、体か鉛のように重たくなった。


「本当、なんで君ここに転校してきたの？皆を見てるだけなら、こんな思いすることなかったのに。





…………早くどっか行ってよ。いるだけで邪魔。」



“お前がいるだけで皆嫌な気持ちになるんだよ。わかる？


……お前は存在自体邪魔なの。さっさとﾀﾋんで。”


あれ以来聞くことはないかなと思ったのに……。

嫌な記憶と歌詞さんの今の言葉が重なる。




気づくと歌詞さんは既に、席に向かって歩き始めてて。


おぼつかない足取りで席に向かった。







それから、女子でやるチアがあった。


が


どんな動きで、どんな掛け声でやっていたのかまったく記憶にないまま、体育祭は幕を閉じた。

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更新かなり遅れました！間を開けてしまってすみませんでした……

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