ep.12 ページ13
夏目さんが現れたことは覚えてても、何を言われたか一切覚えていない。
夏目さんの声すらも思い出せない。
「ほんとに魔法使いみたい〜…」
もう2日も前なのに、未だに頭から離れない。
夏目さん、せめてもう1回だけ現れてくれないかな
「えらい、間抜けな顔してはるやないの。」
「え、誰…」
こ「わしは桜河こはく。よろしゅう。」
「どこから今出てきて……」
ふわりと桜が舞ったように、こはくさんは目の前に突然でてきた。
着物の裾で口元を隠したかと思えば、甘い匂いがしてくる
まって、これ嗅いだことある、えっと、なんだっけ……
「っ…、これ…睡眠薬っ！！」
こ「さすが薬屋やね。バレてしもうた。でももう手遅れやね。」
「なにして…」
こ「口抑えられたら効き目が弱なるんよ。強硬手段っちゅーもん取らせてもらうけど、堪忍しぃや」
そう言ったかと思えば、どうやら首を突かれたらしい。
動きが速すぎて、避けられなかった
どうしよう、千秋さんたちが言ってた人？
いやでも、こんな綺麗な人が……
こ「何考えてはるかわからんけど、意識保てとるんおかしいんよ。あと、ぬしはんは嫌な奴にめぇ付けられた可哀想な子っちわけじゃ。あそこでは常識もなんも通じらん。精々生きていられるのが奇跡みたいなとこや。」
「…なに、いって」
こ「喋れもするんかいな。……まぁ、いまだけの辛抱やわ。わしは気乗りせんけどな。」
つまり、わたしはだれかに狙われてて、その手下みたいなものがこはくさんって解釈で間違いないんだろう。
ダメだ、こはくさんにやられたから力も入らないし、睡眠薬は吸いまくりだ。
もう意識が朦朧としてきた。
こ「ぬしはんも、わしみたいに鳥かごに囚われてしまうんやろか」
最後に聞こえたこはくさんの声はあまりにも小さくてあまりにも、弱々しかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
こ「やっと眠りおった。情報よりも幾分しぶとい小娘じゃった。」
「桜河、出来ましたか？」
こ「HiMERUはん、見ての通りじゃ」
Hi「桜河にしては手こずりましたね。」
こ「女の子に対して手荒な真似しろっちゅーんかいな。わしも人の子じゃ、良心の少しくらい残っとるわ」
そこまで言ってHiMERUはんはAはんを一瞥してため息を吐く。
HiMERUはんは、こういう役割嫌いやろなぁ
Hi「桜河も、嫌でしょうに」
こ「……そうやねぇ」
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作者名：aka______s | 作成日時：2022年3月21日 18時
