魔法の薬【あんスタ】 (ページ2)

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ep.1 ページ2

「Aちゃーん！風邪薬あるか〜？」
「はーい、ちょうどありますよ〜！」

いつもよりも晴れたとある日。
いつものように薬屋の戸を開けて、営業開始の合図。

今日はお客さん少ないみたい。
戸を開けると同時に押しかけてくるような人たちもおらず、今日はみんな健康そうでなにより。
薬の調合でもしようかな。

「………？？？え、大丈夫ですか？！」
「…ぅ、ぅあ…………」

目の前をフラフラと力なく歩いていた人が店の前で倒れた。
近寄って体を起こすと、酷く顔色が悪い。
唇の色までなくなってしまっているし、体も変に冷えきっている。
どうしよう、風邪薬ならあるけど…どう見たって風邪なんかじゃない………
一先ず、中に運んでから…………

「…おっもーい………」

長身の男性を1人で運ぶのは無理かもしれない。
顔を伺うと、艶やかな黒髪で影になっていて見えなかった赤い瞳と目が合った
焦点があっていないから、まだ気は確かではないっぽい

「…お主、だれじゃ」
「おぬ………え、あと…えっと、ここの薬屋のオーナーです。」

薄く開かれた口から紡がれる声は、綺麗な低音だった。
心做しか、先程よりは足元がしっかりしてきたように見える。
これなら、私でも店内に運べそう。
手を首に回してゆっくり歩かせると、ふらつきながらも進んでくれた。
そう言えば、こんな人見たことあったかな。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「落ち着きましたか？」
零「うむ、だいぶマシになったようじゃわい。すまんのぅ、えーと…A？」
「いーえ〜、零さんは日差しアレルギーかなんかですか？」
零「…まぁ、そんなもんじゃな」
「それなら、あんな日差し照ってるなら歩いちゃダメですよ。」
零「普段はそんなことしないんじゃが、今日はたまたま用があっての。迂闊じゃった」

項垂れた零さんは鬱陶しそうに目にかかった髪を払った。
さっきは顔色が悪かったから気づかなかったけど、すごく美形だ。
高身長でイケメンともあれば、私が覚えてないはず無いんだけど……

「あっ、そうだ零さん。これどうぞ」
零「…なんじゃ？」
「これ、日焼け止めみたいなものです。使えないかもしれないけど、持ってるだけ持っててください。」
零「ほぅ………お主が配合したのかえ？」
「はい、1人で全部やってるのでミスってたら私のせいですね」

零さんは、一瞬匂いを嗅いで肌に塗った。