8、そのひとはびゅーてぃふる ページ8
××
「でもマジありがとな！お前はオレのケツの救世主だ」
ケツの救世主って……
最悪なネーミングセンスにひきつり笑いを返す。
一瞬とはいえ男子のケツを触ってしまったことに対するショックさはデカい。責任取って私のこともらってくんねぇかなー
「あ、名前教えてくれよ！」
名前。思い返してみれば誰かに名前を聞かれたのはこれが初めてかもしれない。そもそも父親以外の男に下の名前で呼ばれたことないし。あれ可笑しいな悲しくなってきたぞ……恐る恐る自分の名を名乗ると「Aな！オレはカリム！」といきなり呼び捨てにしてきた。
(な、馴れ馴れしいなコイツ……)
「宜しくな！」
満面の笑顔で差し出され手を私はじっと眺める。
(えっと……なに、この手……？
私と手繋ぎたいって解釈で良いの？)
「……？どうしたんだ？」
気がつけば、勝手に手を取られ握手させられた。
なんだこのコミュ力の塊みたいな男は……生粋の陽キャだけが放つ眩いキラキラオーラに圧倒されていると「入学式はこれにて閉会です！」と不審者の声が響いた。
「……ん？そういえばディアソムニア寮寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……」
「アイツがいないのはいつものことだろ」
「あれ？もしかして誰も式のこと伝えてないのか？」
陽キャ男が首を傾げると「そんなに言うならアンタが伝えてやれば良かったじゃない」と美しい女……いや男なのか？が言った。彼なのか彼女なのかは分からないが思わず見惚れてしまうくらい美しいひとだった。
白い肌、紫水晶の瞳、艶やかな髪、すらりと伸びた背筋。陽キャ男がコミュ力の塊ならこっちは美の塊。まさしく麗人という言葉がぴったりだった。私がガン見していることに気がついたのか、そのひとは私に目を向け、ゆっくりと唇を動かす。
しかしその口から発せられた言葉は耳を疑うものだった。
「芋」
一言。たった一言。
芋。……イモ？IMO！？……芋ってあの、じゃがいもとかさつまいもとかのことを言うのか？えっと……つまり私がじゃがいもに見えるとかそういう……？もしかしなくても喧嘩を売られているのでしょうか！？というか芋ってなに？
「───じゃあなA！ケツの礼はいつかするぞ！」
暫く我を忘れて芋について考えていると、陽キャ男の声で現実に引き戻された。視線を移せば大勢の生徒を引き連れた陽キャ男が私に向かって手を振っているのが見える。
ああ……だれか私をここから消滅させてください……
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柊あんず(プロフ) - 洸さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありません…画力やばいですよね…表紙絵見るたびに惚れ惚れします…更新頑張りますね…！！ (2022年5月5日 17時) (
レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
洸 - 待て待て待て待て画力チートか？画力高杉な？めちゃくちゃ綺麗じゃないっすか。話も素敵です！更新待機。 (2022年4月24日 16時) (レス) id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 櫻陽花さん» コメントありがとうございます！ただいま訂正させていただきました〜！ありがとうございます (2021年3月29日 15時) (レス) id: 69139934db (このIDを非表示/違反報告)
櫻陽花(プロフ) - 序盤の鉱山内での台詞ですが…5年ではなく10年だったと思います…… (2021年3月28日 21時) (レス) id: 07bd924354 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 鮎さん» コメントありがとうございます〜！襲いくる数々の理不尽…！耐えるんだ！多分、三章くらいではメンタルムッキムッキな女の子になっていると思いますね(遠目) はい、更新頑張ります…！！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2020年5月30日 23時
