もしも烏野一年が三年生になったら

もしも９ ページ11

side:椎名悠哉

『コート上の王様』

なんとなく聞いたことのある異名だった。

確かに、中学の時からこの異名は知れ渡ってたと思う。

でも、その頃からすごいトスを上げるからついた異名だと思ってた。

それが、間違いだったんだ。

日｢だから、おれ達の時も影山だけ罰(ペナルティ)を課せられたんだ。｣

影｢あの時の俺より、椎名の方が本当はマシなんじゃねぇか？｣

椎｢はい？｣

日｢……いや、五分じゃね？だって、一年の頃の影山と月島を混ぜた感じだし｣

霧｢……そういえばお前なんて言われてたっけ？…えっと…『冷血の王者』だっけ？｣

椎｢んでお前が知ってんの？｣

霧｢嫌という程有名だから。｣

椎｢まぁ、トスを上げた先に誰もいなかったなんてことは無いですけど。周りが全然見えなくなって、知らずのうちに一人突っ走って…チームの奴に『お前のトスを打つくらいならバレー辞める』とは言われましたね。｣

日｢うわっそいつら性格悪ッ！｣

椎｢まぁ、俺からしたら『だから？』って感じでしたけどね。｣

日｢でも、椎名も間違ってたよな｣

知ってる。もう分かってるけど、あの時間違ってることに俺は…気づけなかったんだ。

日｢今は分かってるだろ？(ﾆｺｯ)｣

椎｢！｣

日｢だったら、もう同じことをしないために、今のお前は何ができる？｣

……今の俺にできること……あっ！ある！

霧｢！？な何？｣

椎｢……勝つために協力して｣

泉｢人に頼む時…そういう頼み方するんだっけ？｣

椎｢ｳｯ…勝つために協力して……クダサイ｣

霧｢えーっと……最初から協力して勝つもんじゃねぇの？｣

は？

霧｢だって、バレーは一人でするもんじゃねぇじゃん！！｣

日｢だよなぁ！ほら見ろ、影山！霧柳は分かってたぞ！｣

影｢うるせぇ日向ボゲェ！｣

霧｢いや、というより…俺はリベロだからっていう理由もありますよ(苦笑)｣

影｢！あぁ、リベロは点を稼げねぇからな｣

霧｢はい！！だから！お前と泉さんが点を稼いでくれれば！あとはボール全部拾ってみせます！！｣

日｢めっちゃ頼もしいな！｣

悔しいけど、本当に頼もしい……

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