白烏 ２

【 ヒトメボレ 】 ページ44

《 黒尾side 》



研磨が忽然と姿を消すのは珍しい事じゃない

どーせゲームに夢中で手元しか見てなくて、フラ〜ってどっか行ったんだろーな

ったく世話の焼ける幼馴染だわ





けど、今回は研磨に感謝だな





貴「それはヤだ」

黒「何でだよ？！」




目の前でプイっと顔を逸らす男は永田玲。ついさっき漸く名前を聞けたところだ


身長は俺と同じくらい。ちょっと細いな。
キャップの端から覗く髪は真っ白、このクソ暑い日に完全に防備された肌
極め付けは真っ赤に光る目


多分…いや、絶対アルビノだろーな




まぁだから何だって話なんだけどよ





木陰で休んでいる所を見つけた。

遠目からでも分かる人とは異なったオーラ？つーかなんか雰囲気が神秘的だった





眠たそうな目から光る真っ赤な目に心拍数が上がった

ジャージの袖から少し見える指に触れてみたいと思った

声をもっと聞いてみたいと思った





何処が？って聞かれると “さぁ？” ってなる

理由は無いし、根拠もない。




笑える話 “欲しい” っていう独占欲が最初に来た

そこからジワジワと確実に、急速に上り詰めてアッという間に惚れ込んだ



見た目がストライク？いや、男好きになった事ねーし知らねーよ
女の子は髪の毛が長くて、こう、可愛い感じの子が好きだった




黒尾鉄朗 高3にして初めて男に落ちたました。誰かタスケテ





貴「…ねぇ」

黒「う、あ、なんだ？」

貴「？…俺も、迷子探してる、から」

黒「あ、永田が迷子な訳じゃねーのか」

貴「うん…その、探してる人が…誰にでも、話しかけちゃうバ…素直な子で…」




今絶対バカって言いそうだっただろ。
無気力そうな顔して腹黒いな

いやでもこれがギャップ萌えってやつか？


永田ウイルスが俺の体内を急速に侵食しております

脳に酸素回せません。血液回せません




貴「だから…多分、だけど…その…黒尾、さんの探してる人と、俺の探してる人…一緒に居る…気がする」

黒「ほー、じゃーその推理で行ってみるかー」

貴「こっち…です」







取って付けた敬語に少し舌ったらずな話し方





黒「ちょい待ーち」

貴「？」





ー…ピッ ガゴンッ






黒「喉乾いてんだろ？ホラ」

貴「うぇっ…？！あ、いや、そんな…」

黒「いーから。ぶっ倒れられた方が心配だろーが」

貴「どうも」




抱き締めたい衝動に駆られてる俺は、取り敢えず天を仰いだ



貴「(黒尾さん…頭ヤラレタ？)」

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