白烏 ２

【 本音全部 】 ページ19

ー…ガラッ



東「！」


貴「ひぃっ！」



え、東峰先輩…？戻って…来た？え、戻って来た！？
え、あれ？え、でも制服…？戻って来たワケじゃない？様子見に来ただけって感じ？



それにしても東峰先輩って強面だから急に鉢合わせすると、本気でびびるわ。情けねえ声出た。





東「あ、えーーっと…」


貴「…………」


東「わ、悪いな！練習の邪魔して、俺行くわ！」


貴「待て」


東「犬か！？」




オドオドしながら俺に背を向けて帰ろうとする東峰先輩を見て、つい呼び止めてしまった。
関わりたくない。人のトラウマな部分とか秘密とか…………





けど…何かこの人見てたら腹たってくんだよな





東「ひっ…！(目が据わってる…？！)」


貴「ちょっと、移動しましょうか」




自分より体格の良い東峰先輩を半端引き摺る形で人気のない場所まで移動した。

何故か東峰先輩は顔面蒼白で冷や汗が凄いけど、自分、ご立腹なんで。ちょっとスルーします。






貴「…………」


東「…………ぁの…」


貴「 エースだから頑張んなきゃ」


東「えっ」


貴「エースだから、此処一番で打たなきゃ」


東「何…」


貴「エースだからエースだから… “ エース ” って言葉意識し過ぎて本来あるべき形 見失ってますよ」







エースの人はプライドが高い。エースって肩書きに誇りを持ってる

幾ら俺がバレー始めてちょっとな奴でも、それくらい分かる




貴「俺エースじゃないです」


東「え、あ、まぁ…」


貴「けど、エースじゃなくても頑張んなきゃ、コレ打たなきゃって思います」


東「！！」


貴「俺、今饒舌に喋ってますけど、人見知りで面倒臭がりな奴です。でもバレー好きだから、自分の好きなものには一切妥協したくないです


東峰先輩も、バレーが好きだから始めたんですよね？？バレーが好きな東峰先輩が頑張って強くなって、そこにエースって冠がついたんですよね？根本は “ バレーが好きな東峰先輩 ” じゃないんですか？」







物事を始めるきっかけは些細なもの。初心忘れるべからず。







貴「好きなのに、ウジウジナヨナヨしてて腹立ちます」


東「うぇっ！？」


貴「負けたまんま、逃げたら、一生負けたまんまですよ」


東「ーーっ」


貴「でも だって けど 言い訳とか要らないから、あんたはサッサと着替えてちゃっちゃか戻って来い！このヘナチョコ！！」






……




…………もうどうにでもなれ

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