白烏 ２

【 見逃さない黒髪君 】 ページ17

東峰先輩に何も言えなかった…いや、言わなくていいって判断した。元々あの人はバレーが大好きな筈だ。
じゃなきゃエースって呼ばれたりしない。西谷先輩と衝突して、思ってもない言葉を口にして、あの人の足を止めてるのはただ仲間への罪悪感と後ろめたさ。


けど、日向と影山の言葉で背中を目一杯押してもらって、もう一歩踏み出そうとしている。
俺が何か言わなくても時期にエースは帰って来る






谷「永田君！」


貴「ふぁっ！？…あ、ごめ…」






考え事に夢中でプリントが回されてる事も気が付けなかった。そう言えばゴールデンウィークが終われば中間テストか…




ゴールデンウィーク…合宿…音駒…楽しみだけど、皆きっとチーム全員揃ってやりたい筈。もし、これで東峰先輩が戻って来なかったら…









貴「………はぁ…」








“ もし ” とか分かんない事考えてても仕方ないよな。杞憂で終わる事を祈っとけばいっか。








＊ ＊ ＊







影「おい、東峰さんになんて言ったんだよ」


貴「え…何も…」





偶々ホームルームが早く終わって来てみれば影山がいて、昼休みの事を聞かれた。
影山が何の意図で俺を東峰先輩へ戻したのか、よく分かんないけど、影山がこういう事気にするのってちょっと珍しい


やっぱり影山もエースの存在が気になるんだな






影「何もって…お前のことだから何か言いたかったのかと思った」


貴「えっ…どういう…」


影「お前、仮入部の時俺が月島にしつこく王様って言われた時とか、日向が囮って言葉に不満持ってる時とか、何かずっと言いたそうな顔してたし
昼休みの時だって同じ顔してた」








え…俺そんなに顔に出てた？
感情表現どっかに落としてきたの？紛失届出そうか？って言われる位には表情の起伏無いはずなんだけど。




影「まぁそんな気がしたってだけで、実際の気持ちは知らねーけど。お前は…」



日「あァ！クッソ影山ァ！先に来やがってぇ！！」


影「！！っの日向ボゲェェエ！！」


日「ぅふぇっ？！何でそんなに怒ってんだよ！？」


影「るせぇ！テメェタイミング悪いんだよ！ボゲェ！」






…………影山が何か言おうとしてたけど日向によって止められた。んで2人は言い合いしながら出て行くし、これは話の続き別に聞かなくて良いやつか？





…………




雰囲気で察される程、俺はこの場所が心地良くなってるのだろうか…

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