白烏 ２

【 一年生達 】 ページ16

《 東峰side 》


昨日に引き続き態々３年のクラスまで来てくれた日向と影山と…あと今日初めましての永田

見るからに付き添いって感じで苦笑いが出たけど、今年の一年は面白い奴が沢山って本当だったんだな




主に日向が俺に話してくれて、影山と永田は黙って俺のことを見ている。
日向の言葉は何故か、スッと心の中に染み込んで来る





日「ネットの “ 向こう側 ” が ばぁっと見えるんです」





あ その景色ちょっと分かる




日「そんで…1番高いトコでボールが手に当たって、ボールの “ 重さ ” がこう…こうズシッとくるあの感じ！大好きです！」



自分の右手の平をグッパッしながら、その感覚を思い出して楽しそうに話す日向




影「お前もっと纏めてから話せよ」

日「エ''ッ」





それも知ってる。よく知ってる

ジャストに当たった時はその感覚が更に大きくなって、気持ちいいんだよな。




日「俺、アサヒさんが羨ましいです。今の俺には1人でブロックを打ち抜くタッパもパワーも無いけど、アサヒさんにはそれがある」






羨ましいと、素直に言える日向のその性格が羨ましく感じるよ





日「今まで沢山ブロックされてきたのかも知れないけど、それよりもっといっぱいのスパイク決めてきたんですよね？だから皆 ーー アサヒさんを “ エース ” って呼ぶんだ」


東「！」






日「俺 エースになりたいから！」





ー…キーンコーンカーンコーン




影「！…時間だ戻るぞ日向」


日「……っ…」


影「早く来いアホ遅刻するっ」


貴｢よいしょ｣


日｢ふぉおお！？｣


永田が動かない日向を担いで歩いて行く。少し細いなって思ってたけどやっぱりあの身長差だと軽々だな…




影「…あの、1人で勝てないの当たり前です。コートには６人居るんだから。…俺もそれ分かったのついこの間なんで、偉そうに言えないっすけど…失礼します」





今年の一年はいい子ばっかりだ。真っ直ぐでなんの捻りもなく俺に帰ってきて欲しいと言ってくれた言葉

響かない訳がないよ。凄く心に来た。日向が話した言葉を、もう一度感じ取ってみたいって思うよ






貴「あ、、」

東「うわっ！あ、あれ？」



日向担いで帰ったんじゃ…あ、ちゃんと歩いてる




貴「か、影山が何か、言って来いって…」


東「いや、いいよ！全然！ありがとう」


貴「…はい」





永田はそのまま何も言わず帰って行った

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