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伍星 ページ6

ひやり、と冷たいものが額に当てられて、わたしは目を覚ました。



「あら、目が覚めましたか?」



綺麗な女の人が目の前にいて、ちょっと驚く。


『あ…ありがとうございます。大丈夫です。


えっと…ここは…?』



「ここは、わたしの屋敷です。

わたしは椎藺雪月と申します。

…あなたは?」



女の人が首を少し傾げると、長い黒髪がふわりと揺れた。


ほわ〜と見とれていると、不思議そうに顔を覗き込まれる。


我に返って慌てると、くすくすと笑われた。


『え…えっと、わたしは叶咲 天禰(かなさき あまね)と言います…!

助けてくださったのは雪月さん…ですよね。

本当にありがとうございます。』




「いいえ、大丈夫ですよ。剣士として当然のことをしたまでですから。


ところで


あなたは、これからどうしますか?」






そう聞かれて、ふと考えた。


わたしは母さんと二人暮らしで、親戚には忌み嫌われている。


頼るところがないのだ。



わたしが返答に困っていると、雪月さんがそっと微笑んだ。



「もし当てがないのであれば、ここに居ませんか?


最善…とはあまり言えませんが、剣士としてわたしの世嗣(よつぐ)になれば、面倒を見ることが出来ます。」


『剣士…って、刀を持って闘う…と言う事ですよね…。』


「ええ…。

影羅(えいら)と言う物怪を討伐するために刀を持ち、振るう


帝都軍に入隊していただく事になります。



けれど、剣士になれば、危険と死はいつもついて回る…。

その覚悟は、ありますか?」



雪月さんは、真剣な目でそう尋ねてきた。


影羅…。


昨日の奴…。


母さんを殺した、敵。


彼奴等と…闘う…。

わたしに、出来るのかな…。





迷った。


怖かった。正直。



本当なら、今頃母さんに行ってきますを言って、布を売りに出ていたんだ。


なのに、何でこんなことに…。










けれど、


そんなわたしの背中を


母さんの笑顔が、温もりが


そっと後押しした。






━同じ思いを、誰にもさせないで━





一度決めたら、後戻りは出来ない。



わたしは暫く迷いに迷った後、深々と雪月さんに頭を下げた。



『これから、よろしくお願い致します。師範。』




━誰かを守る力となれ━




◇――――――――――――――
天禰は雪月の事を“師範”と呼んでいるけど


人によって先生の呼び方は

“師範”
“先生”
“師匠”

など、違ってきます。

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影の黒鷺 - 天秋さん» いえいえ…こちらこそいきなりすみませんでした…! (2020年2月8日 9時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
天秋(プロフ) - 影の黒鷺さん» 了解しました!ごめんなさい! (2020年2月7日 21時) (レス) id: 99f447279b (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - ここです→@font-face {font-family: 春夏秋冬B;src: url(https://cdn.leafscape.be/shunka/shunka2B_web.woff2);} *{font-family:春夏秋冬B !important;} http://uranai.nosv.org/u.php/novel/font_pass/ (2020年2月7日 19時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - フォントを配布していた者です。リンクを張り付けていただき、とても嬉しいのですが@font_face〜…のところは載せないでください。ご協力よろしくお願いします。 (2020年2月7日 19時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天秋 | 作者ホームページ:無い。  
作成日時:2020年2月3日 12時

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