14曲 ページ16
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しかし……
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_____私はあれ以来、相川くんに会えていない。
情けないとも思う、最低だとも罵倒されてもしょうがない。
自分でも思っている、分かっている。
…でも、会ったら、なんて言えばいい?
自分は元々、相川くんの歌が聞きたくて反則の方法で、努力も何もせずに会いに行ってしまった。周りからすればストーカーに見える行為だろう…
『…ごめんなさい…私の、勝手で…傷つけ、て……………………………なにそれ…』
私のことなんて、何とも思ってないのだろう…。
きっと、あんなこと程度で相川くんが傷つくなんてこと……
『…私って、何度、逃げれば…』
コンコンという音が鳴った。
その方に目を向ければ、お母さんが入ってきた。そして私は母の口にした言葉に目を見開く。
「なんか、一ノ瀬さんって人が来てるんだけど…?」
『す、すぐ行く!』
「そう、分かったわ」
お母さんはそのまましたへ降りていった私もカーディガンを引っ張り出し、羽織って下へとかけ下りる。そこにいたのは確かにそらる先輩だった。ぺこりと頭を下げると、「急にごめんね」とそらる先輩も軽く頭を下げた。
『な、なにかあったんですか?』
「いや、チケットなんだけどさ…来れそう?」
『ぇ、あ……』
私なんかが行っていいのだろうか、あんなことをしてしまった私が…
私が迷っている様子を見たからかそらる先輩はため息をついた。反射的に肩が揺れる。…怒られるのだろうか?
「やっぱりね、」
『…やっ、ぱり?』
「悩むんじゃないかって、96ちゃんが」
『96ちゃん…』
「心配してたからさ…用があるらしいから俺来ちゃったけど」
苦笑いで私の頭を撫でたそらる先輩は紙を渡してきた。受け取りそこに書かれた文章を読む。そこにはチケットに書かれた会場、それについての広告だった。
『私、相川くんに…酷いことしたんです』
「……じゃあ、勇気をだして、来てよ」
『……』
「大丈夫。何かあったら、俺が解決するよ…。だから、来て欲しい」
『…なんで、そこまで?』
「……後悔しないで欲しいから…かな」
そう言ったそらる先輩は私についての任務は果たしたと言って帰って行った。
最後に小さく「…後悔する、のは悪いことじゃない…でも、良くもない。それを、知っていて欲しい」と呟いた。
『…はい』
ほとんど相槌のように返事を返しただけだったが、その一言が胸の中につっかえていた相川くんへの罪悪感をほんの少し、軽くしてくれた。
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千風凛(プロフ) - ワーイ!ならこれからお友だちとしてお願いしますっ! (2019年7月23日 5時) (レス) id: 1e7a2b862f (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 千風凛さん» こちらこそありがとうございます(スライディング土下座)私も語彙力が貴方様のように多くなるよう精進します…!そうですね…夏暑いですもんね、千風凛さん大丈夫じゃないですね!!?お体マジ大切に…!!(血走った目)わ、私なんかで宜しかったら是非っお供駄知に!!! (2019年7月23日 1時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
千風凛(プロフ) - 夜桜さん» おぉ!読んでくださってるんですか!?あ…ありがとうございます(土下座)あなたのような神作作れるよう精進します。あと…ほんとお体にはお気をつけて←この人体調崩してるからね?…お供度地になりたいな…なんて(/ω・\)チラッ (2019年7月22日 15時) (レス) id: 1e7a2b862f (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 千風凛さん» ありがとうございます、そのですね…私、千風凛さんの小説読んでます!!!ヘッドホンのやつとそらるさんのケンカップルのやつです!!コメントして頂けて本当に嬉しいです!!!有難いお言葉ありがとうございます…!!!早く更新できるよう頑張ります!! (2019年7月22日 15時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
千風凛(プロフ) - あぁ…ヤバイ…続き気になりすぎる…w←毎日と言っていいほど更新してるか確認する人。あ…無理はなさらないように頑張ってくださいね (2019年7月22日 8時) (レス) id: 1e7a2b862f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月3日 2時