第5Q ボクってもしかして ページ5
貴「……まずいな」
部活が終わって帰宅したボクは、教科書を広げて頭を抱える。生前は病気でろくに学校にも行けず、中学生の範囲があまり分からない。これは赤司くんにあるまじき事態だ。
部活は女の子ということでバスケをせずに済んでいるが、勉強となるとそうもいかない。赤司くんが答えられないなんて、怪しまれてしまうに決まってる。緑間くんに教えてもらえないだろうか?
貴「でも、キセキの世代とは近付かないって約束したからな……」
漫画でも賢い印象が強かった緑間くんを思い浮かべる。キセキの世代以外に知り合いが居ないのに、近付かないと約束したのはよくなかったか。せめて、キセキ以外の友人を作ってからにするべきだった。
ちなみにあの後は、漫画なかった女子マネを労った時の赤司くんを連想して、似たような笑みを浮かべて白中さんの恋を応援した。真っ赤な顔で口をパクパクさせていて、赤司くんの色気の凄さを実感したよ。私も見てみたい
貴「仕方がない。徹夜で勉強して、覚えられるだけ覚えよう」
ふう、と小さく溜息を吐いて、広げられた教科書に向き直る。うつむいたことで垂れてきたふんわりとした赤い髪が視界に入り、頭の中が勉強から赤司くんのことに変わった。
この世界の赤司くんは女の子で、バスケ部もマネージャーだ。そして、既に俺司くんから僕司くんに変わっているにも関わらず、キセキの世代は仲違いしていない。というか、むしろ漫画より仲良しに見える。
青峰くんだってちゃんと部活に来てるし、黄瀬くんだってモデルよりバスケを優先してるし、紫原くんも逆らってこなかった。黒子くんも辛そうな顔をしてない。みんな、楽しそうにバスケをしている。
この世界は本来の黒子のバスケとは違うのだろうか? ボクが赤司くんに成り代わったことで、世界観が崩れてしまったのかもしれない。否、成り代わりというよりは、人格の入れ替わりという方が正しいが。
貴「ん? ということは、ボクってもしかして、俺司くんと会話とかできる?」
広い部屋でポツリと独り言を呟く。黒バスが大好きだった身としては、是非とも赤司くんとも話してみたい。精神世界とやらに行けば会えるのかな?
ワクワクしながら、心の中に行きたいと念じてみた。ふと瞼が重くなって、特徴的なオッドアイを閉じると、お尻に当たる感触が、椅子ではなくふわりとした布に変わる。
そっと目を開けると、豪華な天蓋付きベッドに、ボクにそっくりな赤い髪の美少女が居た。
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作者名:もちネコ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月7日 11時