第1章 - 6話 ページ6
街に着くと、そこはいつもより賑わっていた。
キャラバンが来ると聞きつけたのか、見かけない民族衣装を着た子供が街を歩いていたり、隣街の住人が買い物をしていたりする。
今までこんなに賑わっていた記憶はないが、どうやら今回のキャラバンは大規模らしい。広場はキャラバンの店のテントでぎゅうぎゅう詰めだ。
私も街の賑わいにつられてワクワクしてきた。早く店を見て回りたい。
この世界は交通手段がまだ確立されておらず、この街から遠くに行ったことはないためにあまり異文化を知らないのだ。
言葉が通じるかはわからないが、キャラバン隊の人にこの世界の文化について聞いてみたりもしたい。
そのためにはまずやることを終わらせよう
私はラティからの預かりものを納品し、買い物をするために賑わいから背を向けて、いつもの店がある大通りの方へ足を運んだ。
＿
太陽が真上より西に傾いた頃、私は頼まれごとを全て済ませ、店の裏通りのベンチに腰掛けた。
硬貨と林檎だけになった籠の中から林檎を取り出し、食べる。
この林檎は街へ向かう途中で採り、露天に売るときに残しておいた1番小さいものだ。小さいながらも十分美味しい。1人で食べるにはむしろちょうどいいくらいだ。
最後の一口を食べようとしたその時、泣き喚く子供の声が聞こえた。
どうやらすぐ近くのようだ。
私はこちらの世界の子供もよく泣くなあと何となく思い、そのまま最後の一口を口に入れ咀嚼する。
そうしていると、子供が泣き止んだ。と思ったら大人が騒ぎ出す。
流石に不思議に思った私は店の裏を回って大通りに出た。
どんっ
私は、前から走ってきた男の子とぶつかった。
彼は私の顔を見上げた。
赤い目。涙が溢れ、動転し、ひどく怖がっている赤だ。
思わず彼を抱きとめる、と
向こうから大人たちが走ってやってくる。
おそらくキャラバン隊のターバンを巻いた男、この街の大人、知らない人たちだ。
「悪魔の生き残りだ！」
「クルタ族の子供だぞ！こりゃあ高く売れる！」
善意ではない。悪意だ。悪意が迫ってくる。
逃げなければ。
腕の中の彼はぐったりしていて放心状態だ。
このままではいけない
気づけば私は彼を抱いて走り出していた。
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零落*・reira(プロフ) - カルタさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても励みになります…！ (2020年2月16日 15時) (
レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！合格おめでとうございます！更新楽しみにしています！ (2020年2月16日 14時) (レス) id: 132cc7b19e (このIDを非表示/違反報告)
白餡(プロフ) - パパっと読んでみましたが、描写も結構きっちりとしていて面白かったです。更新頑張ってください (2019年2月16日 23時) (レス) id: 81568ffd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零落 | 作成日時：2019年2月14日 23時
