殺戮の天使～偽りの後日談 (ページ6)

今日:25 hit、昨日:1 hit、合計:16,260 hit

親子みたいな　【グレイ＆男主】ページ6

ダニーはグレイに注文していた薬品を取りにＢ２の大聖堂に訪れていた

巨大なステンドグラスの前に並べられた長椅子の一つにその神父はいた

グレイはダニーの方に静かに振り返ると、人差し指を口に当て静かにしてくれと合図した

何事かとグレイの座る長椅子に近づくと、その意味が分かった

「･･･あ」

グレイの肩に頭を乗せすやすやと眠る青年が一人

「珍しいですね、無防備に寝てるなんて」

ダニーはぷにぷにと陶器のように白い肌を指先でつつく

ヴァルはくすぐったそうに身を捩るだけで起きる気配はなかった

「いつもこんな感じだ。それに、爆睡時は起きないしな」

グレイは目を細めながらヴァルの髪を梳く

「なんだか親子みたいですね」

「親子か･･･実際そうなのかもしれんな」

グレイは何かを思い出すようにステンドグラスを見つめた

「･･･ところで、薬品を取りに来たのだろう？少し待っていなさい」

「いいですよ、また後で取りに来ます。せっかくの時間を邪魔したくないので」

ダニーは来た時と同じように静かに戻っていった

『･･･別に起こしてくれてよかったのに』

グレイの肩からむくりと起き上がり、目をごしごしと擦りながら呟く

「起きていたのか？」

『うーん･･･今さっきね』

まだ眠たいのかぼんやりと返事を返すヴァル

猫のように伸びをすると不自然な寝方をしていたのかパキパキと関節が音を鳴らす

「ヴァル、お遣いを頼みたい。ダニーの所へ薬品を持って行ってくれないか？」

一瞬面倒臭そうな顔を見せたが、大きな欠伸を一つして立ち上がった

『はいはい、分かりましたよ。お父様』

グレイはヴァルが最後に発した言葉に目を白黒させた

「全部聞いていたのか･･･」

何となく状況がつかめずぼんやりとしていたグレイだが、奥の部屋から両手いっぱいに薬品を持ったヴァルに「ぼさっとしてないで手伝えっての！」と小突かれ我に返るのだった