殺戮の天使～偽りの後日談 (ページ30)

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髪　【レイ＆男主】ページ30

「レイさ、髪綺麗だねってよく言われない？」

ビルから出た後、レイとは散々殺しあったような仲だったが今や兄妹のように接している

切っ掛けは何だっただろうか、レイの髪を結ってあげることが多くなった

「お洗濯とかお料理するときに纏めてたぐらいだから･･･誰かに結ってもらったことないの」

とレイがカミングアウトしてきた時は正直驚いたが、昔孤児の女の子の髪を結ってあげていたことを思い出しやってあげることにしたのだ

手鏡を見て嬉しそうに控え目に笑う姿を見てから数が増えたような気がする

「ないよ。お母さんもお父さんもあんまり私に興味がなかったみたいだし･･･」

「何かごめん･･･」

頭のサイドの髪を三つ編みにしくるりとひっくり返す

二つの束を青色のリボンで結んでやれば完成

「はい、できたよ」

「･･･！ありがとう」

レイは鏡を見て笑った

どうやら気に入ったようだ

「ヴァルも髪伸びたね」

「ああ、美容室なかなか行けないからね･･･ほとんど銀色になっちゃった」

肩に付く程度まで伸びてしまった髪は正直鬱陶しいと思っていたところだ

切ってしまってもいいか、と思っていた

「じゃあ私が結んであげる」

「いいよ、切っちゃおうと思ってたし」

レイは手に櫛を握りしめて首を振った

「私、ヴァルみたいに上手じゃないけどやりたいの。いつもやってもらってるから」

じゃあ、お言葉に甘えてとレイに任せることにした

櫛で髪を梳いてもらいながら子供の頃母によくやってもらっていたことを思い出した

特別髪が長かったわけではないが、寝ぐせ頭のまま出かけようとして捕まったっけ･･･

「できた」

なんて考えていると頭の上から声が降ってきた

鏡で確認してみると、サイドに髪を垂らし、黒いリボンで結い上げられた自分が映っていた

「これいいね、ありがとう」

レイの頭を撫でてやるとレイは満足げににこりと笑った

「ザック、髪伸びたね。私が結んであげるよ」

「はあ？いいだろ･･･ってこっち来んじゃねー！」

その後ようやく起きてきたザックにじりじりとレイが櫛を握りしめて歩み寄っているのを見かけた