殺戮の天使～偽りの後日談 (ページ26)

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喧嘩するほど仲がいい　【ザック＆男主＋グレイ】ページ26

「ほんっとさぁ！デリカシーとかないよね！脳みそまで筋肉でできてんじゃないの？」

「ああ！？テメェが近くに寄ってくるからだろーが！頭使えよ！」

グレイはB2でギャイギャイと大喧嘩している二人の殺人鬼を見て頭を抱えた

拾ってきた二人の少年を会せたはいいが、コンディションは最悪だった

正反対のタイプ故に衝突が多いのだ

「まずは報告をしなさい」

「言われた通り生贄はB6で殺したよ。ただ、こいつに邪魔されたけど」

「は？邪魔されたのは俺のほうだよ！」

またもやバチバチと火花が飛び散っている

聞くところによると、ヴァルの追いかけていた生贄をザックが襲撃したらしい

が、振りかぶった大鎌は壁に突き刺さっただけで空振り

危うく首を撥ねられるところだったとヴァルは語った

「前から思ってたんだけど、その無駄にデカい鎌使うのやめれば？大振りだし、切れ味は悪いし最悪だよね」

「テメェこそ銃使うのやめろよ。避けんの難しいんだよ」

「流れ弾に当たらないようにしてあげてます！バカな誰かさんの為にね！」

「今すぐ殺してやろうか？」

斬りかかろうとするザックをグレイは宥める

「ふむ･･･。ならば、ヴァルはしばらくB6に向かわないようにしなさい。ザックはB5に到達する生贄が多いのならば新しい武器を調達しよう。分かったな？」

「･･･はぁい」

「わーったよ」

拾ってきた当初に比べて聞き分けは良くなったが、この不仲はどうにかならないものかとグレイは悩んだ

ふと、東の国でよく言われることを思い出した

「お前たち、喧嘩するほど仲が良いということはないか？」

二人の殺人鬼はお互いの顔を見合わせると、同時に口を開いた

「んなわけあるかよ」

「絶対あり得ない」

ふんっと身を翻すと部屋に戻っていってしまった

グレイは二人の様子を見ながら今後の経過に期待するように、静かに笑った