マイヒーロー ページ35
「翠くんの歌、ちゃんと聴いたことあります?」
「…」
「とっても綺麗なんですよ…どんなに疲れててもそんなのすぐに吹っ飛ばすくらいの癒される声で…」
「っ…」
「あと、ご飯が美味しいんです。俺、料理が苦手で…だからなのか翠くんが毎日ご飯作ってくれるんですよ。翠くんも練習とかやってて忙しいはずなのに…でも、そのお陰で朝起きるのも仕事から帰ってくるのも楽しみになっちゃったんですよね」
「…うる、さいっ…」
「まだあるんですよ?他には…」
「うるさいって言ってんでしょっ!!」
前マスターだと名乗る彼女が声をあげる。
彼女は俺を物凄い形相で睨み付けていた。
「だいたい貴方何なの?随分と翠くんと仲良くしてるようだけど、あれはロボットなのよ?そんな作り物に感情移入しちゃうなんて…貴方頭可笑しいんじゃない?」
「…確かに、翠くんはロボットだ。今でも信じられないけど…。でも、彼は…
あの日孤独だった俺を救ってくれた"ヒーロー"であり、今まで一緒に過ごしてきた"家族"なんだ…!」
俺は彼女の目を真っ直ぐ見つめる。
彼女に俺の気持ちが伝わればと、強く。
その時彼女の口は何か言いたげにワナワナと震えていた。
「貴方が過去、翠くんにどんな風に接していたかはわからない。でも、たとえ契約上貴方が彼のマスターであっても…翠くんのこと理解しようとしないで悪い子なんて言葉で片付けようとする貴方を、俺はマスターだとは認めないっ…!」
俺は今、どんな顔をしているのだろう。自分じゃ分からないが…
彼女は恐怖だか怒りだか、ハッキリ分からないがその華奢な体は先程の強気な態度からは想像できないほど小刻みに震えている。
「っ…もういいわよっ!!!!」
「わっ!」
ﾊﾞﾀﾝｯ
彼女は突然声をあげたかと思うと、手に持っていた契約書をぐしゃっと丸めて俺に投げつけこの家から出ていってしまった。
一気に静かになった空間で一人、俺は普段あまり怒鳴らない分先程の一件での疲労がドット押し寄せてきて脱力していた。
「はぁ…」
「A、さん…」
「み、翠くん!?」
俺の後ろには翠くんが立っていた。
翠くんを見て思い出す。
彼には仲間がいた…その仲間が彼女の元にまだいる…
それなのに俺はつい感情的になってしまって、彼女とまともに話さなかった…
「ごめんっ、翠くん…!」
「なん、で…Aさんが謝るんスか?」
‐
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかねっこ(プロフ) - 仁科一家さん» こういう設定がら、地雷な人多いだろうなぁと思って執筆していたのでそう言っていただけると嬉しいです!更新頑張ります!! (2018年6月3日 14時) (
レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
仁科一家(プロフ) - 普段占ツクのBLってほぼ地雷寄りなんですけど、この作品は本当に好きです。素晴らしい作品ありがとうございます！ (2018年6月3日 10時) (レス) id: dec30a2f4d (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - 琥珀さん» そうなんですよ…流星隊Pを殺しにかかってますね運営は…←更新頑張ります!! (2018年5月19日 23時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - この作品楽しく読んでます！つらいですよね…クラス別スカウトAnd流星隊のイベ...これからも更新頑張ってください！ (2018年5月19日 21時) (レス) id: 5e61c82747 (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - 夜闇の魔物さん» ありがとうございます!!相変わらず亀さん更新で申し訳ないのですが頑張ります!! (2018年5月19日 20時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あかねっこ | 作成日時：2017年12月26日 19時
