129Q 存在と唯一とそれから正面突破 ページ34
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「さぁて、とりあえず第一関門は突破成功。次は……」
PCを開けた田中は、しかし顔色を変えた。
「は? おいおい嘘だろ……」
「和也? どうしました?」
「ちょっと待てよこれなんで誰も反応しないわけ? SPどころか使用人一人も入ってこねぇとかありえねぇぞ。普通にでかい物音したじゃねぇかこれ」
「和、どうした? まさかAに……」
「っ、ちょっと貸して!」
「あ、おい!」
西野が勢いよく田中からPCを奪い取った。奪い取ったPCの画面に西野たちが目を落とし、その双眸を大きく見開いた。
「A!」
「おい、なんでAが倒れてんだよ!?」
「和也、どうゆうことです?」
PCの画像に映っていたのは倒れこんだAの姿。
その姿に三人が取り乱しながら田中に聞き出した。
「知るか! それよりおかしいのは空良が倒れたのに誰も入ってこねぇってことだよ!」
「!」
「空良はこの屋敷の令嬢だろ? なら普通は物音一つしたら使用人が気にかかるんじゃねぇの?」
「そう、ですね……それに空良さんは体が弱いはず、彼女のことを知っている人物なら物音一つでも気にするのが当然ですが……」
映し出された画面に視線を落とし、藤村は眉間に皺を寄せた。
「誰も入ってこない……少し、おかしいですね」
「そんなことより今はAだ! 早くしねぇとAが……!」
「もう、なりふり構ってらんないね。正面突破でAの救出に行く」
ピリピリと殺気立つ虹村と西野に田中は頭を掻いた。
「あー! めんどいことになり始めた!」
「まああの画像を見らせた時点でこの二人はこうなること決定でしたからね。腹を括りなさい」
「くっそ、スタンガンもう一個持ってくりゃよかった」
「悔いても仕方ありませんよ。……さて、虹村君、西野さん」
藤村に呼ばれ、血走った眼光が向けられる。殺気の量が徐々に増している二人は、さながらどこぞの狂犬だ。
それだけ空良Aという存在が二人にとってかけがえのない、唯一のものだと確信できる。
愛されていますねぇ、そうどこか羨ましそうに思いながら藤村はにこりと微笑んだ。
「正面突破、行きましょうか」
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黄葉氷雨(プロフ) - これ大好きです!!!思わず一気読みしちゃいました!続きが気になります…いつまでも待ってますよー (2016年2月25日 14時) (レス) id: 2846151982 (このIDを非表示/違反報告)
ユミキ - この作品大好きです!!にじむー超カッコイイ!更新は急がなくて大丈夫だと思うので、きちんと完結した作品にしてください!!!お願いします!m(__)m (2016年1月5日 22時) (レス) id: 2cdc7b326e (このIDを非表示/違反報告)
はるち - 凄く面白かったです!!虹村さん男前すぎます!!キセキの気持ちがわかります!!期待してます!! (2015年12月30日 13時) (レス) id: 3cc41fe1af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉−KUREHA−(プロフ) - 時計ウサギさん» 時計ウサギ様、コメありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです(*´∀`)更新が落ちていますが気長に待っていただけると幸いです(;^ω^) (2015年12月10日 22時) (レス) id: 5687a48801 (このIDを非表示/違反報告)
時計ウサギ(プロフ) - 最初から一気に読みました♪虹村先輩カッコよすぎです!!続き楽しみにしてます♪ヽ(´▽`)/ (2015年12月10日 21時) (レス) id: 93ddaea698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉 | 作成日時:2015年7月1日 0時