121Q 赤桃色と藤色とそれから癖 ページ26
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「…………」
ズズッとグラスに入ったジュースをすすり、西野は壁に凭れていた。
先ほどまでテラスにいたAは虹村と戻ってきて、今は後輩たちと楽しく喋っている。その少し前に、Aは西野のところにやって来た。
内緒話でもするかのように耳打ちをしてきた。
今度の休みに、虹村に全部話すと。
途端、西野はその顔を曇らせた。その顔を見たAは申し訳なさそうな顔をしてから大丈夫だと告げた。
――何が大丈夫なんだよ……。
西野は知っている。
少し困ったような、申し訳なさそうな顔をして大丈夫だと告げるA。その際、右手で左手を覆うように握っていた。
あれは空良Aが強がっている証拠だ。小学生の頃からの癖で、都合の悪いことや誰かに迷惑をかけてしまうようなことが起きると必ず右手で左手を握り、大丈夫だと口にする。
本当は大丈夫なんかじゃない。今だって不安で怖くて泣きたい筈なのに、彼女はそれを他人に見せようとはしない。
それが一番の親友でも。
「ったく……」
西野は呆れたように息をつくと赤司と桃井、藤村を呼んだ。
「どうしました?」
「頼みがあるんだけど」
「なんでしょうか?」
「これ、調べてほしい。できたら桃井と会長にも」
折りたたまれたメモ用紙を赤司に渡すと、三人は西野とメモを見比べた。
「あの、これは?」
「中見たら分かる」
西野に促され、赤司はメモを開けた。瞬間、彼の目が険呑な光を帯びた。赤司だけではない。桃井と藤村も、険しい顔をしている。
「これは……」
「これって……」
「薄々そうじゃないかと思っていましたけど、やはりそうですか」
「会長と赤司は気づいてたんだ」
「まあ情報収集はオタにとって必要な存在ですからね。自然とそうゆう話も入り込んできますよ」
「僕もそういう話は何度が耳にしていました。確証はなかったですが」
「今の流れで桃井も察したと思うけど、要はそうゆうことだ。頼む、Aの為に力を貸してほしい」
「もちろんですよ西野さん」
「お二人の為ならいくらでも力を貸しますよ」
「私頑張って調べます」
「助かるよ。早めに調べ上げてほしい、私も父さんにいろいろ頼み込んでみるから」
「分かりました」
メモを棟ポケットにしまい込み、赤司は赤と金の瞳を煌めかせた。
「赤司家の権力ですべての情報を集めてみせましょう」
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黄葉氷雨(プロフ) - これ大好きです!!!思わず一気読みしちゃいました!続きが気になります…いつまでも待ってますよー (2016年2月25日 14時) (レス) id: 2846151982 (このIDを非表示/違反報告)
ユミキ - この作品大好きです!!にじむー超カッコイイ!更新は急がなくて大丈夫だと思うので、きちんと完結した作品にしてください!!!お願いします!m(__)m (2016年1月5日 22時) (レス) id: 2cdc7b326e (このIDを非表示/違反報告)
はるち - 凄く面白かったです!!虹村さん男前すぎます!!キセキの気持ちがわかります!!期待してます!! (2015年12月30日 13時) (レス) id: 3cc41fe1af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉−KUREHA−(プロフ) - 時計ウサギさん» 時計ウサギ様、コメありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです(*´∀`)更新が落ちていますが気長に待っていただけると幸いです(;^ω^) (2015年12月10日 22時) (レス) id: 5687a48801 (このIDを非表示/違反報告)
時計ウサギ(プロフ) - 最初から一気に読みました♪虹村先輩カッコよすぎです!!続き楽しみにしてます♪ヽ(´▽`)/ (2015年12月10日 21時) (レス) id: 93ddaea698 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉 | 作成日時:2015年7月1日 0時