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第20Q 雨からの風邪 ページ22

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「……寒い」




案の定、全身ずぶ濡れになった赤司が身震いしながら玄関のドアを開けているところだった。




「うわ、赤司! とりあえずシャワー浴びておいで!」




部屋の中も少し肌寒いくらいなんだ、外は雨のせいでもっと寒いだろう。



私がそう言うと、気怠(けだる)そうに赤司は頷いてふらふらと浴室に歩いていった。


赤司がシャワーを浴びている間にやることはたくさんあって、私はてんてこ舞いになる。



着替えを用意しベッドのシーツを交換して、赤司が歩いた跡を拭き。


あとは風邪をひいていないことを祈るのみ、


そんなことを思っていると浴室のドアが開いた音がして。




「……怠いな。身体も痛い……」




うわごとのようにそう言ってベッドの端に座り込んでしまった赤司は、


髪を(かわ)かす余力すら残っていないようだった。




「風邪かなぁ……。とりあえず髪乾かして、ベッド使っていいから寝な?」

「もう、動きたくない……」




そう言っていつもより荒い呼吸を繰り返す赤司。


こうしている間にも髪の毛先から(したた)る雫が、彼から体温を奪っているようだった。




「……わかった。ちょっと待ってて」




赤司の返事を聞くことなく私は洗面台に走り、ドライヤーを手に戻る。


そしてコンセントを差し込み赤司の背後に回ると、スイッチを入れた。




「……! A……」

「いいからじっとしてな。濡れたままじゃ寝かせられないよ」

「……構わない…」

「いいから」




最初は抵抗する素振りを見せた赤司だったけど、次第に身体の力が抜けていって。


なんにも言わなくなったその身体は風呂上がりということを差し引いても少し熱い気がした。




 




「――よし、終わり!」




数分後、すっかり乾いた艶やかな赤髪を私が指で()く頃には、


赤司は私に寄りかかるように座っていて、ただ小さく頷く。


そのままベッドに倒れ込んだ赤司に布団を掛けてやると、


とろんとしたどこか焦点のあっていないまなざしで私を見上げる赤司と目があった。




「……人、間は」

「ん?」

「……不便、だな」




その言葉に思わず私はドキッとした。


さっきの夢が脳裏をよぎり、思わず唇を噛む。




「……ヴァンパイアは風邪とかひかないの?」




チクリと胸の奥が痛んだ気がして、ごまかすように私は口を開いた。




 




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ゆあ - すごくキュンキュンしました! ヤバイですね! これからも頑張ってください! (2017年3月16日 22時) (レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています! 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ!はい!続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます! これからも更新も含めて頑張らせていただきます!! (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます! そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります!(*`・ω・´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍沢鳴 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年4月9日 0時

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