第11Q 名前 ページ13
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「だからなんだい。それだけの理由で追ってきたのか？……キミはずいぶんとお人好しで、馬鹿な人間だな。キミをあんな風にしか捉えていなかった僕が出ていけば体のいい厄払いになるだろう？」
淡々とした口調で言葉を並べ、赤司は揺らめく瞳で私を射る。
……後悔、してるのかもしれない。
自分の言葉に、私が追ってきたことで余計に。
そう思ったらわずかに残っていた赤司への恐怖心も夜空に吸い込まれていった。
例え彼が吸血鬼であろうとも少なくとも今は人間とたいして変わらないんだから。
「そうされて困るのは赤司のほうなのに、わざと突き放そうとして馬鹿みたい。――間違ったことをしたら謝ればいい。少なくとも私は、さっき赤司を傷つけたんじゃないかと思ったから探したんだよ。……さっきは、ごめんね」
頭を下げてから数泊後。
静けさを取り戻した公園の真ん中で、私は頭を上げる。
視線の先にたたずむ赤司は少しだけ呆れた様子で私を見ていた。
かと思うと、何かを諦めたかのような短いため息を一つこぼして。
「……僕の方こそ、すまなかった」
そう言うと公園の入口の方に向かって歩き出したのだ。
「あ、ちょっと！ どこ行くの!?」
「――帰るよ、Aの家に」
いきなり歩き出した赤司に慌てて声をかければそう返ってきた言葉。
……初めて呼ばれた私の名前に照れくさくなった私は返事もせずに赤司の背中を追いかける。
そのまま赤司の後を追いかけながら公園を出て、家路について。
アパートが見えてくるまで何も話さなかった私たちの、
その均衡を破ったのは私の目の前を歩く吸血鬼のほうだった。
「……お前は変わった女だな」
その言葉に私が早足で赤司の隣に立つと、彼は足を止めてじいっと私を見つめた。
「僕が他人に、しかも人間風情に謝ったことなど初めてだ。物怖じもしない、怯みもしない――不思議な女だ、Aは」
「……
静かに語り出す赤司の言葉に私がそう返すと、彼はただ頷いて肯定して。
「敬意を表して今後はお前を名前で呼ぼう。ヴァンパイアの王子に名前を呼ばれる人間などそうはいない。ありがたく思え」
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ゆあ - すごくキュンキュンしました！ ヤバイですね！ これからも頑張ってください！ (2017年3月16日 22時) (
レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています！ 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ！はい！続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます！ これからも更新も含めて頑張らせていただきます！！ (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます！ そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります！(*`･ω･´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
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