"愛す" をコンビニで買う 2 (ページ17)

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心境ページ17

_龍友side

玲於に電話をかけてどれくらいたったやろ。

部屋には僕とAちゃんが残していったミントアイスの匂いがただただ残っていた。

その匂いが僕を慰めているようで余計に辛くなった。

もう、Aちゃんがここに来ることは無い。

やから、この想いと一緒に捨てるんや。

アイスを手に取って、ゴミ箱へと運んだ。

溶けて、カップの中でドロドロになっている。

僕の気持ちのように。

アイスを見れば、Aちゃんの幸せそうな顔が浮かんできて、

ゴミ箱の上に手は出しているのに、

そのアイスを離すことができなかった。

きっとこの世の中で、ミントアイスを見ながら涙を零すのなんて、

僕くらいだ。

.

朝 ((;morning

目が覚めて、リビングに行けばまだほんのりと残る

爽やかな匂い。

捨てたはずのアイスが蘇ってくるようだった。

きっと僕は気持ちを捨てきれていない。

テレビをつけてご飯を食べる。

玲於の報道は出ていない。

僕のうちに女の子が出入りしたことも出ていない。

あの二人に何も無かった訳ないのに、

わずかな希望を捨てきれない僕がおった。

.

会議室 ((;meeting room

「おはよ」

とドアを開けながら言えば、おはようございま～すとかえってくる声。

会議室におったのは、

隼、亜嵐くん、裕太くん。

玲於はまだ来てへんのか、

安心したような、不安なような。

そんな気持ちがぶつかり合っていた。

「おはようございま～す」

ドアが開く音ともに入ってるくる声と、

玲於。

聞こうにも聞けへんくて、

合わせる顔すらあらへんくて、

玲於と目を合わせることさえ避けた。

改めて僕の弱さを知った。

僕は弱い。

.

会議が終わって、リハ室に向かおうとしたら、

あの男から話しかけてきた。

「龍友くん、後で話あるんだけどいい？」

もちろん、玲於やった。

もう逃げれやん。

逃げたらあかん。

「おう」

自分でも思うほど、情けない声だった。

それほどにAちゃんが好き。

こうしとることで、僕はほんまにAちゃんを守れとるんやろうか。

何度思ったことか。

どう足掻いても、もう彼女はいない。

僕にはもうアイスの匂いさえも残ってないから。