希望 ページ26
ふはっと笑う兄者さんはでも、と静かに続ける。
兄「ほら、うちの弟者くんはあんな感じでしょ?人のことあんまり疑わないんだよね。てことは兄として俺がしっかりしなきゃいけないわけよ。おっつんはほんとに色々やってくれてるし、そこまで負担かけられないから」
『あ〜弟者さん純粋な感じありますもんね...』
兄「あいつもえっちな話題とか結構好きだけどね(笑)」
『そういうことじゃないです!ったく...ただやっぱり、そんな簡単に仲良く...というか割り切って親しくなれないっていうか。今までの習性的に構えちゃうんですよね、どっかで裏切られるんじゃないかって』
目線を下に落とす。
おついちさんに借りてきたサンダルが緑で目に優しい(自分のスニーカーも血だらけなため借りた)
兄「習性的にね...分かるよぉそれ。ただ俺らはもう敵対する気はない。協力関係云々って言い出したの弟者なんだけど、俺もおっつんも賛成したし。だから後は親密度?っつーか信用するぜ!っていう気持ちの問題だって頭では理解してんだけどさ」
『あの話持ち出したの弟者さんだったんですね...まぁ私も敵対するつもりはないです。むしろ強い仲間がいるならそれに越したことはないですし。なので少しずつ心開く努力はしてるんですけど...』
と、その時頭の上に何か感触。
顔を兄者さんの方に向ける。どうやら兄者さんの手が私の頭に乗っかってきたようだ。
『兄者さん?』
兄「あーと、その、あいつらもそうだと思うけど、まだ壁があるのは分かってます。でもちょっとずつ信用・信頼出来るように俺も努力するんで。だからその、...話しましょ?」
驚きと喜びで言葉が出なかった。私がteam 2BRO.の皆さんに対して思っていたように、兄者さんも壁とか信用することの葛藤を感じていたこと。そしてそれを私に話してくれたこと。
なにより確実に今の会話で少しではあるけどプラスな方向に進んだこと。
それが嬉しかったし驚きだった。
『...はい!』
兄「まぁね、もし襲われても返り討ちにしてやるんでノープロブレムですけどね」
『あっそういうこと言っちゃいます?ていうか兄者さん「話しましょ」って何ですか?』
兄「あぁあ聞こえない!何も聞こえない!」
『ちょっと!頭ぐしゃぐしゃになっちゃうじゃないですか!!まず運転に集中してください!!』
誤魔化すように私の頭を強く撫で回す兄者さんに文句を垂れつつ私は思った。
この世界も捨てたもんじゃないかも、と。
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作者名:Alice:A | 作成日時:2019年7月24日 0時