Act.11 ページ16
あれから数日が経ち、4月になり、始業式の日も間近となった。
春休みと言えど、部活動に勤しむケイゴは今日も朝早くから家を出ていった。
ケイゴ曰く、ショッピングモールでの事件はネット等で話題になり、部活中でも話が出たそうで。映画の撮影やら、はたまた異世界から転生してきたとか言われているらしい。それは漫画の読み過ぎ感あるけど。
しかし数日たった今、これほど騒がれた話題も今では珍しい生物や別の事件の情報に流されている。流行の波の速さには閉口するのである。
(何とか着れたけど、やっぱり動くと中見えそうだな…タイツ履こう)
件の事件で女優やら異世界の住人にされている当の本人、つまり私は、昨日やっと制服が届いたので今日、一期達に会いに行く次いでに見せようと今着替えている。
「A様、お車をお出し致しましょうか？」
自分で着替えると言ったら二つ返事で下がって布団や寝間着を片付けていた使用人が訊いた。
「あー…いや、大丈夫です、一人で行きます。」
確かに車で行く距離ではあるため一度は考えるが、この家で車と云えばリムジンであり、リムジンなんかで街中を走ったら目立ちまくりである。それは避けたい。
「…うん。物吉、どこか変なところはない？」
こちらを見ないように窓の方を眺めていた物吉に訊く。
それに反応した物吉はさっと駆け寄り、校章の角度や服のシワまで細かく見る。
「主さま、ネクタイの結び方が違いますよ。」
「嘘、あれだけ教えて貰ったのに…」
「ふふ、大丈夫です。今日は僕が結びますが、これから毎日結ぶことになるのでいずれ慣れますよ。」
「うーん、ありがとう。」
お易い御用です！と物吉は反対側からネクタイを結ぶ。器用だなぁ。
結んでもらったネクタイをブレザーの中に入れて、シワを伸ばして整える。
「A様、よく似合っております！」
そうかな
柄にもなく照れる
「じゃあ、行ってきます。」
「はい、気をつけて行ってらっしゃいませ。」
扉を開くと、物吉は蝶になり後をついてきた。
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作者名：メグ x他1人 | 作成日時：2019年8月11日 9時
