―126 全能の神 ページ26
中学で初めて出会ってから、多くの時間を共にした級友あり、仲間である
特別思い入れがないとは言えない
そんな彼にこんな役をやらせてしまったこと
そんな顔をさせてしまったこと
笹川
「ごめん」
リングに炎を灯した瞬間、部屋になだれ込んでくる構成員の男たち
しかし彼らが銃をAに向けるより先に、Aは炎を大量に注ぎ込んでコハクを開匣した。
広めの部屋全てを占領するほどの大きさ
コハクは匣から出てきたその瞬間、ありったけの力で咆哮する
低く大きな唸りは建物全体を震わせ、不意打ちのそれに多くの人間は耐えられず失神した。
これだけの騒ぎ
準備していたのか、静かだが猛々しい。凛とした炎が近寄ってくるのがわかる
沢田だな
ここで交戦すると時間を食う、戦闘は避けるべきだ。と
そう判断したAはコハクに窓辺の壁一帯を破壊させると背に登って最後、足止めのために雪の炎で床を守護者たちの足ごと凍らせた。
「んだこれ!!」
「こんなことも隠していたんですか、トガセ氏」
「っ待て!!トガセ!!」
初めて見る技に不信感しか残らない
Aの氷は強力だと知っているが、伸ばさずにはいられない
しかし了平の手がAに届くこともない
Aを逃してしまった守護者たちは、ただ遠くなっていく背中を黙って見ていることしかできなかった。
それでも、力が弱まっているとはいえ天下のマフィアボンゴレファミリー
Aひとり見つけて捕まえることなど造作もないだろうと、アジトをあとにしたAはすぐさま携帯端末を操作する
彼女は白蘭への連絡を惜しまなかった。
「まさかあんなにすぐ連絡をくれるだなんてね
絶対嫌われてると思ったから意外だったよ」
彼女が白蘭に連れてこられたのは、高層ビルの最上階
好物のマシュマロを食べながら、優雅に足を組んでソファに座る白蘭
その後ろでホワイトスペルの隊服を着たAはうんざりしたように彼の言葉を聞き流す
こうなることが想定できていただろうに、憎らしい
Aがボンゴレを去ったあの日から2ヶ月が過ぎた。
イタリアのミルフィオーレファミリー本部に身を置かれたAは、本部の警備員という立ち回りを強いられている
ボンゴレ本部と近くはないので、あれから誰にも会っていない
「大嫌いだ、お前みたいなやつ」
「厳しいなぁ」
砕けた調子で話すこの組織のトップ
いつもこうだ。
Aをただ傍に置き、それ以上手を出すことはない
そんなぬるま湯に浸かって、しかし自由に動くことが叶わないという気持ちの悪い感覚に
Aは奥歯を噛み締めた。
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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