初恋はラムネの味に少し似ている

第７話 ページ8

治と国木田君が虎？探しに向かって早数時間。
今は国木田くんに呼ばれて、十五番街の西倉庫に向かっている。

乱「あ〜、まったく。僕が行ったって、何にもならないのに」

ぼそぼそと小言をつぶやいている。
あれ？ぼそぼそとつぶやいているから小言なのか。小言を言っているからぼそぼそとつぶやいているのか。それとも…？

乱「どうせまたくだらないこと考えてるんでしょ。にしても行きたくなーい。めんどくさい」

なんでわかったんだ。
エスパー？サイコキネシス、これは違うな。

乱「A、考え事してる時に僕のことほったらかすのやめてよ。結構寂しいんだから…」

俯きながら言ってくる、可愛い。

『はいはい、後でお菓子買ってあげるから黙って西倉庫行くよ』

そう言うと、笑顔で後をついてきた。
というか、ここどこ？

自慢ではないが、自分の家から探偵社までの行き方しか覚えてない。後、途中で駄菓子屋によるコースと。

『乱歩、ここどこかわかる？』

首を横にフルフルと振りながら乱歩が

乱「僕も知らない。こりゃ完全に迷子だね」

という。
こういう時に超推理を使わない乱歩。
国木田君に電話するしかないかあ。怒られるの嫌だなあ。
仕方ないか。

『国木田くーん。今ね、十五番街の西倉庫に向かってるんだけど…完全に迷子になったみたい』

電話越し、国木田くんの沈黙が重い。ああ、圧死しそう。

国「で、周りにいるのは誰だ？」

沈黙が終わったのに、さらに空気が重く。
乱歩は知らんぷりだし。

『周りにいるのは乱歩だけです。ごめんなさい！！』

この後絶対に国木田くんの怒声が…。

国「この馬鹿者！どうして周りの奴らを連れてこなかった！与謝野先生や賢治がいただろう！まったく、周りに何がある？場所がわかれば迎えに行ける」

ほら、国木田くんの怒声が。
何度目だろう、国木田くんの怒声を聞くのは。
とりあえず周りのものを探そう。

『えーと、窓があります』

国「もっと具体的なものはないのか？ああいい、お前の周りにあるものすべて言っていけ」

具体的なものを探して周りを見た。
窓は具体的じゃないのか？

『窓のほかには…。屋根と木箱らしきものと、虎？』

ホワイトタイガーか、白虎かは知らないけど虎が暴れてる。
虎が繰り出す攻撃をかわしている治もいてた。ん、治？

国「虎！？お前まさかもう倉庫の中か…。あ、扉から乱歩さんが出てきた」

いつの間にか、目的地についていたらしい。
いつの間に？

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