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「完全に熱中症だな」
体育教師曰く、沙夜は中程度の熱中症になっていた。
現在は織姫に膝枕され、たつきにはハンカチであおがれ、首の裏や脇の下に保冷剤を当てられてぐったりとしている｡
失神はしてしまったものの、幸い数分後に意識は戻り、水分補給も自分で行えるまでに回復した。
脈打つ頭痛と戦っていると、上から平子の声が降ってきた。
「本城さーん、氷嚢とスポドリですよー」
「平子! 氷嚢なんてどこにあったの?」
「緊急事態やからな。職員室行ったら貸してくれたわ」
そのまま平子は沙夜の枕元に腰を下ろして言った。
「沙夜ちゃん、さては水筒の中麦茶やな。塩分も取らなアカンで」
沙夜は、実際にギクリという音が鳴るのではというくらいわかりやすく反応した。
彼の言う通り､体内の塩分濃度が薄まるので、お茶ばかりはかえって脱水症状になってしまう。
「織姫ちゃん足痺れたやろ。代わろか?」
「う、うん。……じゃあお願いします」
立ち上がった織姫はやはり足が痺れており、生まれたての子鹿のようになっていた。
悪いことをしたと思う間に、平子からまた声をかけられた。
「織姫ちゃんと違うて俺の膝は硬いからな。肩貸したるわ」
そのまま半身を起こされ、平子の左肩にもたれる形になった。これが存外収まりが良い｡
若干の汗臭さはあるが、その中にも彼自身の匂いがして､安心感から沙夜は船を漕ぎ始める。
「っ⁉︎」
突如､脳内に映像が差し込まれた。
毎日のように見る、長い髪の男性の夢だ。
顔はぼやけているが、まばゆい金髪と背格好が平子とよく似ている｡
「なんや、怖い夢でも見たんか?」
直後に平子の顔を見ると、激しい頭痛に襲われた。
一瞬の痛みで､熱中症とはまるで異なるものだ。
「ううん……でも､何か大切なことを忘れてるような気がする｡ どうしても思い出せないの」
「……しんどいやろ。無理して思い出すことないわ。成り行きに任せときゃええねん」
白い歯を見せて笑う平子｡そんな彼を、沙夜は優しい人だと思うのだった。
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kocha28012(プロフ) - めっちゃ面白かったです！続編待ってます！ (12月30日 1時) (
レス) @page44 id: a73870853f (このIDを非表示/違反報告)
ねーぶる｡(プロフ) - 高評価ありがとうございます! 恐れ入りますが､この小説は名前固定(オリキャラ)とさせていただいてます｡それでもよろしければ、引き続きお楽しみください♪ (7月25日 8時) (レス) id: 6d62d65eb7 (このIDを非表示/違反報告)
なでこここ - めっちゃ面白いです！！名前変換だけできてない箇所があるので直してくださると嬉しいです🥺💕 (7月25日 6時) (レス) @page3 id: bdaf2286ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねーぶる｡ | 作成日時：2023年7月3日 13時
