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2時間目、沙夜たちのクラスは体育だった。
今日はダンスなので男女混合だ。
当然、誰と2人組になるかという問題が発生する。
席が近くて話も合う、という理由で沙夜は一護と組もうとしたが、織姫が勇気を振り絞って彼に話しかけるのを見て、あっさり身を引いた。
いくら目立たない存在だからといって、人の恋路を踏みにじるほど沙夜の面の皮は厚くない。
粗方ペアは決まっているようだ。数の問題で3人組のチームも居るが、それでも沙夜が入れそうな枠はない。
離れた位置の平子を横目で見る。
彼はとうに男子同士で2人組を作り、談笑していた。
転校初日で注目されているのもあるが、それを差し引いても流石のコミュニケーション能力である。
諦めて体育教師と組もうとしていた時だった。
「せんせー! 余りました、誰も居ませーん!」
突然平子が挙手し、大声を出した。
「あれ、平子相方居なかったのか。じゃあ本城と組んでやってくれるか?」
「わっかりましたー!」
平子は元気よく返事をして、沙夜のもとに走ってきた。
その道中、平子が話していた男子に目配せし、相手が親指を立てるのが見えた。
あぶれているのが可哀想だったからだとしても、優しい嘘に感動を覚える。
「よろしくなァ、沙夜ちゃん」
「あの……ごめん。せっかくペア出来てたのに変えさせちゃって」
「何言うてんねん。俺は沙夜ちゃんと組みたいから声かけたんや。そこはお礼やろ」
平子は沙夜の額を軽く小突く。
勘違いするので言い方には気を付けてほしいと思いつつも、沙夜の体温は独りでに上がっていく。
「……ありがとう」
「おう。やっぱし沙夜ちゃんは笑った顔がいっちゃん可愛いな。ほな行くで!」
「えっ!? ちょっと平子くん!」
平子は沙夜の手を引いて駆け出す。
繋いだ手の感触と温かさに妙な懐かしさを感じた。
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kocha28012(プロフ) - めっちゃ面白かったです!続編待ってます! (12月30日 1時) (レス) @page44 id: a73870853f (このIDを非表示/違反報告)
ねーぶる。(プロフ) - 高評価ありがとうございます! 恐れ入りますが、この小説は名前固定(オリキャラ)とさせていただいてます。それでもよろしければ、引き続きお楽しみください♪ (7月25日 8時) (レス) id: 6d62d65eb7 (このIDを非表示/違反報告)
なでこここ - めっちゃ面白いです!!名前変換だけできてない箇所があるので直してくださると嬉しいです🥺💕 (7月25日 6時) (レス) @page3 id: bdaf2286ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねーぶる。 | 作成日時:2023年7月3日 13時