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車を追い越す速さで空を駆けていく。
ある程度走ると平子は地上に降り、沙夜を下ろした。
そこは倉庫のような場所だが、周りの人間は誰も気付かず、一瞥もしない。
そんな2人の背後に影が忍び寄る。
「おわっ⁉︎」
平子は尻を蹴飛ばされ、壁に頭から突っ込んだ。
スポンと音を立てて頭を引き抜き、平子は蹴った犯人を怒鳴る。
「い……痛いのコラァ! いきなり何すんねんひよ里!!」
「何もへったくれもあるかい!! 誰やねんその女! 知らん奴をアジトに連れてくるとかどういう神経してんねん‼︎」
ひよ里と呼ばれたツインテールの少女は、平子の胸ぐらを掴むなり猛烈な往復ビンタをかました。
「あだだだだ!! 」
直後、沙夜が2人の間に割って入った。
ひよ里の腕を振りほどき、平子を背中に庇う。
「は? なんやアンタ」
「ま……前から言うとったやろ。この子が沙夜ちゃんや」
「……ふーん。コイツが真子の言うとった"沙夜"か。ハゲたツラしとんの」
ひよ里は、沙夜の霊圧が低いので人間か否かを判断しかねていた。
「アンタどっちや。人間か、死神か」
沙夜は答えない。
だんだん苛立ってきて、ひよ里はサンダルをパタパタと鳴らした。
「だんまりか……まぁええわ」
ひよ里は沙夜の胸ぐらを掴み、斬魄刀に手をかけた。
――刹那、ひよ里の視界が反転した。
投げ飛ばされたのだ。
「なんや……? 急に様子が変わった……っ!」
起き上がろうにも、凄まじい霊圧で身体が言うことを聞かない。
見上げた沙夜は仮面を被っていた。
「虚の……仮面⁉︎」
しかし、ほとんど壊れており、左目を覆っているのみだった。
斬魄刀を出し、鞘に手をかけた時。
「おおきにな、沙夜ちゃん。 もうええよ」
平子が後ろから沙夜を抱き寄せた。
だからと言って止まる確証もなく、下手をすれば反撃されるかもしれない。一か八かの大博打だった。
「……」
だが、沙夜は止まった。
左目を覆っていた仮面と斬魄刀は、忽然と消えていた。
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kocha28012(プロフ) - めっちゃ面白かったです!続編待ってます! (12月30日 1時) (レス) @page44 id: a73870853f (このIDを非表示/違反報告)
ねーぶる。(プロフ) - 高評価ありがとうございます! 恐れ入りますが、この小説は名前固定(オリキャラ)とさせていただいてます。それでもよろしければ、引き続きお楽しみください♪ (7月25日 8時) (レス) id: 6d62d65eb7 (このIDを非表示/違反報告)
なでこここ - めっちゃ面白いです!!名前変換だけできてない箇所があるので直してくださると嬉しいです🥺💕 (7月25日 6時) (レス) @page3 id: bdaf2286ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねーぶる。 | 作成日時:2023年7月3日 13時