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その頃、虚圏《ウェコムンド》内・虚夜宮《ラス・ノーチェス》では、藍染がモニターを興味深げに見つめていた。
そこに映るのは、大虚を一撃で葬り去る沙夜の姿。
「藍染様、何か気になることでも?」
「ああ……彼女、平子隊長の想い人そっくりだと思ってね。100年前、実験用の中級大虚に殺されたはずなんだが」
100年前、現世に出現した虚とその結末は、平子の心に今でも深い傷を残している。
四番隊と共に平子の救援に赴いた際、あまりのショックで表情が固まってしまった彼を見て、藍染は内心ほくそ笑んでいた。
そして、その時の中級大虚は、隊長格との戦闘データ収集のために藍染が放った個体だった。
「……興味深い」
藍染は口元から手を離し、傍に控えていたウルキオラにあることを命じた。
目を覚ますと、カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいた。
着替えて階下に降りると、ちょうど母が食事の用意をしているところだった。父はテレビを見ている。
「おはよう」
反応がない。
大きな声で再度挨拶したが、やはり返事はなかった。
しかも、皿や料理が2人分しか用意されていない。
けれども、両親はそれが当たり前かのように振る舞っている。
不審に思いつつも、沙夜は食事にとりかかる。
といっても、テーブルの上の6枚切り食パンをバターとジャムで流し込むだけだ。
ベタつく油脂を口にした瞬間、胸焼けしそうになったが、空腹には勝てなかった。
静まり返った住宅街を歩く。
すれ違うスーツ姿の大人や同じ学校の生徒は、誰もが沙夜が居ることを考慮しない位置を歩いている。
案の定ぶつかったが、謝罪の一つもない。
そればかりか、何にぶつかったのかと困惑した顔をするばかりであった。
「……なんなの」
モヤモヤした気持ちを抱えたまま学校にたどり着く。
「井上さん、おはよう……井上さん?」
自分の席に着いて、近くに居た織姫に声をかけるが返事がない。
「え? ああ、おはよう」
2回目、かつ声をかけてから時間を置いて、織姫はようやく気がついた。
結局、まともに会話できたのは一護か平子くらいのものだった
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kocha28012(プロフ) - めっちゃ面白かったです!続編待ってます! (12月30日 1時) (レス) @page44 id: a73870853f (このIDを非表示/違反報告)
ねーぶる。(プロフ) - 高評価ありがとうございます! 恐れ入りますが、この小説は名前固定(オリキャラ)とさせていただいてます。それでもよろしければ、引き続きお楽しみください♪ (7月25日 8時) (レス) id: 6d62d65eb7 (このIDを非表示/違反報告)
なでこここ - めっちゃ面白いです!!名前変換だけできてない箇所があるので直してくださると嬉しいです🥺💕 (7月25日 6時) (レス) @page3 id: bdaf2286ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねーぶる。 | 作成日時:2023年7月3日 13時