操りの兵器【３】 (ページ49)

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「国王陛下様、準備が整いました」

晴れた空から射す日の光に命一杯全身で浴びた俺は、柄じゃないことをしているなと思いながらしていた。

「そっ。なら、配置に着いていつでも行けるようにしておいて」
「はっ」

今日はいい記念日になりそうだ。
いつの間にか、懐かしい鼻歌を歌っていた。
昔、俺が幼い頃に聞いた小市民の女が、歌っていた歌だった。

「上機嫌ですね、王よ」
「んー、そう？」

背後から聞こえたのは、十年に一度の逸材。
『太陽の申し子』の、柔らかく温かい声だった。

「体は大丈夫なのかな？」
「ご安心を」

背後から感じ取る温かな笑みは、さすが貴族の出だなとも思う。

「王よ、連絡が来ました」
「なんて？」
「『魔術道具』の破壊をしている模様。破壊次第突入とのことです」
「報告ご苦労、死神。･･･で、『あいつら』は」

俺は、空の鳥の群れを見つめる。
群れから、二羽の鳥が離れていく。
群れと鳥は、黒い壁の向こうへ。
二羽の鳥は、そのまま空を飛んでいた。

「乱して見せるとのことです」

ああ、そうか――。
『僕』は、綻んだ。
本当に、いい記念日になりそうだ。
三日月の弧を描いた顔で、後ろを振り返る。

「楽しみだね」

朧げな影が、王の玉座の後ろにある窓のカーテンの後ろでひっそりと佇んでいる。
王は、晴れ渡っている青空を背景に、幼い笑みを浮かべた。
大きすぎる王冠。大きすぎる真っ赤な外衣。
王にしては、幼い顔つき。
その全てに、ひれ伏す日が来るのだろう。