妖－AYAKASHI EP.1 (ページ42)

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春の終わり、夏の始まり。ページ42

ー７月。ミンミンと暑苦しく鳴くセミたちで囲まれた教室。いよいよ長かった１学期が終わりを告げる時だった。

「し、死んでいるっ…！」

羅菜がふざけて言っているのは机にふせ、魂が抜けたような顔をしている私のことを指しているのだろう。

「…元気ないじゃん、大丈夫？」

森井が心配して声をかけてくれたが、生憎返事を返せるほどの気力はない。

…結局あの怪しい女の人のことは一切情報無くて身元がわかんないし、名須川先輩は何か知っていそうにしていたけど、なんか聞きづらい雰囲気を出してるし…。

彼女のことを考えていると、立ち去る間際にどうやら悲しそうな顔をしていたことを思い出した。

そして、それと同時に名須川先輩のあの顔。…きっと彼女と名須川先輩は何かしらの関係があるようだった。…自分の勘違いかもしれないけど。

「お、思い詰めた顔をしてるじゃん…！A、さすがに部活休みなって！」

『大丈夫だよ…大したことないし。』

「Aは元気ないし…よし！今日の放課後俺らでスイーツ食べに行かね！？」

名案だ！…という表情をした羅菜。

…二人に気を使わせてしまって申し訳ないと思ったけど、断るほうがもっと申し訳ないと思うからその案に乗った。