君に ページ35
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俺、何してたんやろか。
自分の思いだけを尊重しすぎた余りに暴走して、船をぶっ壊して、うらさんを傷つけて、まーしぃとセンラに迷惑をかけて。
俺、何思ってたんやろか。
自分はフラれた、だとか。他人には興味のない話で破滅の魔法唱えて、みんなを巻き込んで。好きとか嫌いとか関係なしに攻撃して。
俺、どう思われたんやろか。なんて、考えたくもない。怖い。うらさんもまーしぃもセンラも許してくれる、多分、許してくれる。でも、確証なんてない。嫌や、嫌わんといて。
A、居なくならんといて。
「…坂田さん?」
愛しい声に振り向くと、きょとんとした顔の、どこにも傷がついてないAがいた。ほっとしたのも束の間、怖くなった。ここはあの世で、俺と一緒につれてきてしまった、なんてことだったらどうしようか。それに気付かず俺に話しかけてくるAに申し訳なくて俯いた。
「…俺が、もしも、傷つけたら…どうする?」
「私を、ですか…?」
無言でこくりと頷くと、聞かれる前から決まっていたような速さで返された。
「怒りますよ、そりゃ存分に。私が悪かったら謝ります。でも坂田さんが悪いなら謝るまで許すつもりはないです」
「…そう、やんな」
「でも…
謝るって行動は人に反省の思いを伝えるものですから、私は、それを受け止めますよ」
「…ほん、まに?」
「本当です。だって、私の大切な大切な」
"大好きな坂田さんですから"
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