storia5-20 〃 ページ21
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『ではラストの曲いきます!』
歌っている四人の笑顔は、とてもキラキラしていた。
勿論、アイツらも、
姫様も。
セナから聞いたのだが、姫様は俺をテンシから『連れ戻す』ためにこれをやっているらしい。
まさかこんな方法で仕掛けてくるとは。
でも、おかげで『守るもの』が何かがわかった。
「……月永くん。」
「ごめん、テンシ。」
テンシがこのときどんな表情をしていたのかはわからない。
ただ、テンシと目を合わさず、無我夢中で駆け出した。
ようやくわかった。
何故母があんなことを言ったのか。
『今日も良い天気ですね。』
皆に見せる顔も、
『レオ!これ見てみて!』
『今日の予定は?
……えーめんど。』
俺達にだけ見せる素顔も、
全てが愛しい。
俺は姫様が好きだ。
だから、守る。
ただ、それだけ。
目の前の角を曲がると、すぐに舞台裏についた。
が、何かがおかしい。
辺りが真っ暗なのだ。
何も見えない。
おかしい。今は姫様達が舞台で歌っているはずなのに、ざわざわした声しか聞こえない。
前に進もうとすると、何かに躓いた。
人が倒れている。
辺りには甘い香り。
……催眠ガスか。
服の裾で口元を覆いながら、やっと慣れてきた目で辺りを見回す。
……舞台口はあそこか。
瞬間、舞台口の方から足音が聞こえた。
セナ達か。いや、違う。
足音は2つ。けれど、セナ達の足音じゃない。
「へー、この子けっこうかわいいね。」
「ダメだよアニキ。ちゃんと届けなきゃ……。」
そして、知らない声。
俺はゆっくりと深呼吸し、現れた人影に向かって剣を突きだした。
「何をしている。お前ら。」
「あ〜らら。1人残ってましたか。」
「うわ。どうしよう……。」
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