storia3-12 〃 ページ26
あれから嵐の隣国に行く話は無くなって。
私達は普段通りの『今』を満喫している。
ちなみにあのあと、一応見つからずに帰れたらしい。
でも、多分親父は気付いてる。
だってさっき嵐の報告聞いていたとき黒い笑みで見られたもん。
おぉ怖。ストーカーかよ。
……うん。
あークッキー美味しいなぁぁっっ!!
「姫様!」
あぁもう!わかってるよ!忍!
渡せば良いんでしょ渡せば!
「あ、あのね。嵐。」
後ろ手に隠していた、小さなラッピング袋を取り出す。
「つ、作ったの。料理できる人って……その…じょ、女子力高いっていうでしょ?だから……その……。」
受け取ってくれる?
たったそれだけの言葉なのに、何故か私の口はその言葉を発するのを拒否した。
もしも毒が入っていたら。
もしも口にあわなかったら。
嵐がまた離れていってしまう感じがして。
「な、何故に私に?」
嵐の顔を見れなくて、視線を下にそらす。
「嵐が私の前からいなくなっちゃったのって、私が女子力ないからかな、って思って。
だから私がね、じょ、女子力上げれば嵐は戻ってきてくれるかな、って。」
「美味しいですよ。姫様。」
嵐がにっこりと笑う。
手の中の袋は、空になっていた。
「ご安心下さい。私が離れようとしたのは、姫様の女子力なんぞが原因ではありませんから。」
おい今さらっと私のことバカにしたよな。
「しかし、理由は今は姫様でも話せないのです。
必ず時が来たら、話します。
それまで、待っていていただけますか?」
召し使いが主に隠し事をするなんて言語道断。
決してしてはいけないことだ。
でも、
「私は心が広いからな!いつまでも待ってやる!」
ありがとうございます。
嵐は私の前に片膝立ちし、頭を垂れた。
「よーし皆の衆!沢山作ったからお前らも食えっ!」
「ねぇA、俺のは?」
「凛月は作ってる最中に味見って言って沢山食べてたじゃねーか!」
今日も、可憐に白鳥が湖の上を舞う。
今日も、私達は平和である。
鳴上嵐編 fin.
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*神*威* - とても面白いです!王国パロいいですよね(*^ー^)ノ♪これからも応援しています! (2017年10月9日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
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