109話 ページ13
ドレスを見に纏い、出てくる麻里。その姿は美しく、そして可憐で見るものを惹きつけるそんな魅力があった。
「あ、海堂先輩がいる」
そんな独り言を言いながらも、こっそりため息を吐く。やはり、この人はまだ好きなのだろうか?麻里のことを。そう思っていると、麻里が泣いている。ここで出てこなかったら男が廃りますよ!アンリ先生!
そう思っていると、何を勘違いしたのか麻里の婚約者である男が麻里に『王子はここだよーー!』と言いながら麻里に抱き着こうとしている。違うし、近づくんじゃねー!そう思っていると、アンリ先生は婚約者の男の裾を掴み、転ばさせ、会場に立った。
「アンリ……先生?」
状況が把握できないとでも言いたげな麻里にアンリ先生は麻里の薬指に……
「生徒と先生の恋はタブーだと自分に言い聞かせていましたが……もう自分の気持ちに嘘はつけない。好きです。麻里。結婚してください」
アンリ先生がそう言うと、麻里は涙を零し、ギュッとアンリ先生を抱きしめてこう言った。
「私も、アンリ先生のことを愛しています……!」
そんな大胆な告白に観客達は冷やかしているが、それと対照的に海堂先輩が寂しそうな目で会場から去っていくのを目にした。
「あ……」
声を、掛けたかった。だけど、どう声を掛けたらいいのか全くわからないので私は目を逸らすことしかできなかった。
「でも、おめでとうございます。アンリ先生に麻里」
そう言った直後、マチルダさんがやってきた。そういえばチームマチルダも、この大会に出場してたのだっけ。今回はチームいちごとすることになったから完全に忘れてたけど。
「どう見てもあのチームが優勝ね。ーーそれはそうとして追わなくていいの?」
「え?だ、誰を……?」
「あの先輩よ。私もあの先輩のことよく知っているわ。だから、追いなさい。……好きなんでしょ?」
マチルダさんの言葉にジワッと来た。だけど、誤解している。私はーー
「私は海堂先輩のことそんな目で見たことは一回もありません…」
「えっ。そうなの?なら、どうして泣いているの?」
目を見開かせ、マチルダさんはそう言った。私泣いてるの?慌てて顔で手を拭うと、確かに泣いている。
「早く、行きなさい。行かないと後悔するわよ」
マチルダさんはそう言う。私は頷きながらマチルダさんに対してこう言った。
「ありがとうございます。マチルダさん」
そう言って私は海堂先輩の後を追いかけた。
140人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かんな x他1人 | 作成日時:2020年8月2日 22時