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110話 ページ14

「海堂先輩!」

何を話せばいいとか全然纏まってないのに、声をかけてしまった。でも、声を掛けないと、先輩がどこかに行ってしまいそうで怖かった。

「何?Aちゃん」

不機嫌そうに、海堂先輩は振り向く。でも、そこに悲しげな顔をしているのは明らかだった。

「……その……」

そもそも、なんで言えば正解なのだろう?泣いたとはいえ、海堂先輩に恋愛感情があるのかまだわかっていないし……

「海堂先輩。……どうして今日来たんですか?」

気づけばそんな質問をしていた。だけど、それも気になっていたことではあった。

「…まだチャンスがあると思ったんだよ」

そう、口に出して海堂先輩は去っていく。ずきんと胸が痛む。海堂先輩のことを考えると。ずっとそれは麻里の複雑な感情を知っていたからだとそう思っていた。

だけどもーー


「ああ……そういうことか」

私、海堂先輩のことが好きなんだ。今更そんな気持ちに気づいちゃって馬鹿みたい。マチルダさんですら気づいていたのに。

「……A」

そう言って、悲しそうな目でミルクが近づいてきてこう言った。

「Aもやっと恋したのね。でも、その恋ーー」

「言わなくてもわかってるよ、ミルク」

この恋は私には荷が重すぎるよ、でも、初めての恋だ。諦めたくない。

「……だから、私、頑張って振り向かせます」

そう私は宣言したのであった。

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作者名:かんな x他1人 | 作成日時:2020年8月2日 22時

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