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第20話 ページ22

「オレの練習着じゃデケェと思うけどそれしかねぇから我慢しろ」
「ちょっとこれなんで半袖」
「あー、まあそろそろ練習着も長袖だな」
「なんだよそれ……」

トイレの前で立ち尽くしていたとき、通りかかって声をかけてきたのはオレンジ頭、宮地だった。
バスケ部の部室で着替え、今に至る。

「つーか、お前なんでそんなんなってんだよ」
「お前のカノジョサンのせいですけど?」
「は? カノジョ? 彼女なんてオレいねぇけど」
「は?」
「は?」

……。

「厚化粧でデブでブスでゴリラのカノジョいねぇの?」
「誰だよ……って、あぁ、アイツか……」
「? やっぱ知ってる感じ?」
「ここんとこストーカーまがいなことしてくるブスがいんだよ。裕也と同じクラスのやつだろ?」
「裕也って?」
「お前のクラスメイトだよ!」

ああ、コイツの弟裕也ってんだ。ふーん。


「ハックシュ! あーさみー……。まあいいや、んじゃ私帰るから」
「おい待て待て、それ着て帰られたらオレが部活行けねぇんだけど」
「じゃあどうすりゃいいんだよ。制服ビシャビシャだぞ」
「制服乾くまで学校に居ろ」
「えー帰ろうと思ったのに……」
「普通に学校サボんじゃねぇよ。まあ1限はもう始まってっからオレも休むが」
「そーっすか」

数秒置いて、宮地が口を開いた。
「なあお前」
「お前っていうな」
「テメェこそ先輩にため口すんな」
「はいはーい」
「んで、A」
「ナンデスカ」
「Aのその髪、地毛か?」
「あー……」

そういや初対面のとき地毛だったっけ。

まあいい、ちょうど邪魔だったし。

私は、黒髪のウィッグを取った。


「つーか、髪伸びたな……よし今度切ろう」
「A」
「ナンデスカセンパイ?」
「切るな」
「は?」
「すっげぇ綺麗だ」

は?


はあ?


「なにそれ、告白っすか?」
「いやちがっ……、髪がだ! 髪!!」
「ふーん。まあ切り行く時間もねぇしな」

私がそう呟くと、宮地センパイは首をかしげて私を見た。

「部活とか入ってねぇんだろ? バイトでもしてんのか?」




「私、アイドルやってるんで」



「はああああああ!?!?」

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作者名: | 作成日時:2015年2月27日 16時

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