第11話 ページ13
ズキズキと痛い左頬を擦る。
あーあ、このあと生放送だってのにどうしてくれんだよ。
まぁ、マスコミとかにバレるわけにはいかないから、出る寸前まで湿布で冷やしてファンデーションで隠すしかないだろう。
「……にしても、なんでアイツが……」
先程帰ったアイツの事を思い出す。
アイツ
−−私の、実の父親。
「……クソッ」
私が小学2年のときに離婚したソイツは、私や姉、母に毎日毎日暴力を振るっていた。
母がある日、ついに警察を呼び暴行罪で逮捕。
刑務所へ入ったハズだった。
「なんなんだよアイツ……」
認めたくないが、アイツと私は似ている。
顔も、性格も。
まあ、だから私も暴力とか罪悪感なくやってるし、母にも姉にも嫌われてるんだろうけど。
そろそろ紺野さんが来るであろう時間になり、湿布を捨ててファンデーションを塗る。
なんとか見えなくなりそうだ。
−−ピンポーン
チャイムが鳴る。
ファンデーションで汚れた手を拭いて、荷物を持って外へ出る。
「行くわよ」
「はい」
とにかくアイツの事は忘れよう。
収録じゃない。生放送なんだ。
気持ちを入れ換えないと。
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作者名:紫 | 作成日時:2015年2月27日 16時