エピローグ ページ49
【A視点】
夢を叶えた私は、家に帰る。大切な人が待つ家に。夢を追うために自分と戦った愛する人が待つ家に。
「ただいま!」
大きな声で帰りを告げると、二つの声が返ってくる。
「おかえり、A。おめでとう。ちゃんと自分の力で夢を叶えたのね」
まず、お母さんが笑顔で迎えてくれた。そして奥から飛び出してきたもう一人。
「おかえり、そしておめでとう、カロスクイーン。よく頑張ったな」
「アラン!」
今になってうれしさが溢れ出て、私はアランに飛びついた。お母さんは「やれやれ」と言いながらも、微笑ましそうに傍観している。
「しょうがない奴だ」
とか言いながら、アランもうれしそうだ。
「そうだアラン。アランの方はどうでした?」
私が大会に出ているとき、アランは大学の編入試験まっただ中だった。私のパフォーマンスはテレビで何度でも見れるけれど、アランの試験については本人しかわからない。
アランは思わせぶりな間を取ったあと、ふっと微笑んだ。
「おかげさまで、最高の演奏ができたと思う」
心から安堵した。そのせいか、大きくお腹が鳴ってしまった。お母さんとアランがくすくすっと笑う。
「ご飯にしましょうか。今日はカレーよ!」
今日のご飯当番はお母さん。おかげであの美味しいカレーがめいっぱい食べられる。まあ、この三人なら誰が作っても美味しいけれどね。
私が退院してから、私とアランは一時的に旅を止め、この家にお母さんと一緒に住んでいる。
でも、いつかはまた旅に出るつもり。
次の旅は、私、アラン、マノンちゃんのメンバーで行く予定だ。アランの大学関係のこととマノンちゃんの博士のお手伝いが落ち着いたら、みんなでカロス中を旅するのだ。
テレビからは、連日私について偉い人が意見を交わし合っている。私がカロスクイーンになった今、その議論は熱を増しているようだ。人間ではないものがリーグ優勝者やカロスクイーンの称号を奪っているのは人間への冒涜だと批判する人もいる。
それでも、私のおかげで救われた人がいることを主張する人もいてくれる。カロスクイーンになったのも、この賛否両論の渦の中で確かな票数を勝ち取ったのだから公平な勝負だ、と言ってくれたときには目頭が熱くなった。
「できたわよ!」
お母さんの声で、私とアランは食卓につく。鼻をくすぐるスパイシーな香りが空腹を刺激してまたお腹が鳴る。
これからも、私は生き続ける。大切な人の隣で、幸せを噛み締めながら。
[END]
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時