はなむけ ページ20
戸惑っているセレナさんの視線を追うように、サトシと目を合わせる。
「サトシ。同じ力を持つ者として、一緒に明日を守るために戦ってくれてありがとう。あなたの力は世界を救える。あなたはもっともっと強くなれる。未来は託したよ」
サトシは信じられないといった様子で口を開いた。
「待てよ……Aはどうなるんだ!? 何をしようとしているんだ!?」
彼の疑問にちゃんと答えてあげられないのを悔やみながら、首を振る。サトシは私の名前を呟き、しばらくの間、下を向いた。
私はマノンちゃんと目を合わせた。
「マノンちゃん。いろいろなこと、気遣ってくれてありがとう。ハリさんのこと、心配で不安だったはずなのに、私やアランを励ましてくれてありがとう。大丈夫だよ。ハリさんはもうすぐ目を覚ますから」
マノンちゃんはすぐさまハリさんに目をやった。それからもう一度私に目を向け、心配そうに「A……」と呟いた。私は微笑みを返す。
少し迷いながら、ダイゴさんの方を見た。
「ダイゴさん。マノンちゃんとキリナお姉ちゃんのこと、気にかけてくれてありがとうございました。もう一度勝負したかったです。これからは、私の代わりにお母さんの対戦相手になってやってください」
ダイゴさんは葛藤しながらも、「わかったよ」と仕方なさそうに微笑んでくれた。
次に私の目が捉えたのは、アカザさん。
「アカザさん。アランは『ダメ親父』なんて言っていましたが、私は全然そうは思いません。アカザさんは素晴らしいお父様です。その勇気と優しさでマノンちゃんを守ってくださって、ありがとうございました。アランのこと、お願いします」
アカザさんは既に嗚咽を漏らしていた。本当に、親子揃って純粋で繊細な心を持っているんだから。
アカザさんの後ろに集まっているみんなにも目を向ける。
「プラターヌ博士、カルネさん、パキラさん、リモーネさん、ジムリーダーのみなさん。私たちを見守り、力を貸してくださってありがとうございました。みなさんの頑張りは無駄にはしません」
プラターヌ博士をはじめ、みんなが名残惜しそうにうなずくのが見えた。
私はふと、赤く染まった空を見上げた。その空の先にいる人に向けて、声を届ける。
「カレンさん。私とアラン、お母さんとアカザさんを結びつけてくださってありがとうございました。シズカ。私に喝を入れてくれてありがとう。今からそっちに行くから待っていて」
そして、最後。ツドキとアランに目を向ける。
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時