最後に見ることになる景色 ページ19
【A視点】
これが最後。私が最後に見ることになる景色。
ジガルデの隣に浮遊しながら、崩れゆく巨石とそこに立つフラダリ、そして私たちの後ろにいる、この世界を守る勇気を持ったみんなを見回す。
「A……お前、まさか……!」
アランもとうとう気づいちゃったみたい。ツドキと一緒に、私に困惑の目を向けている。
「うん。これが最後。だから……自分の願いくらい、自分で叶えにいかなきゃ」
彼に笑顔で答える。ちゃんと笑顔、伝わっているのかな。私の心の奥底の不安や寂しさが滲み出ていないかな。
「私、みんなを救いたい。そのみんなには、おとうさんも含まれているの。だから、私が行かなきゃ」
きっとアランは止めるだろうと思った。だけど、彼は何も言わなかった。歯を食いしばりながら、両手に力を込めながら、私の想いを受け入れようと頑張ってくれた。
私はお母さんに目を向けた。
「お母さん。今まで私を見守っていてくれて、ありがとう。シズカを亡くしてからずっと反抗的で、親不孝で、迷惑かけてごめんなさい。私を信じていてくれてありがとう」
お母さんがうなずくのを見て、今度はキリナお姉ちゃんの方を見る。
「キリナお姉ちゃん。最後までわがままな義妹でごめんね。なんだかんだあっても、優しくて純粋なキリナお姉ちゃんが大好きです。ありがとう」
キリナお姉ちゃんの目は濡れていた。胸の奥がきゅっとなる。
視線を少し逸らし、プリムさんを見る。
「プリムさん。正体を隠してまで私を守ってくれてありがとうございました。ラコイさん、早く目覚めるといいですね。私がどんなことになっても、プリムさんとラコイさんが幸せになれるよう祈っています」
プリムさんは右手を握りしめて宙を見た。空を通して、ラコイさんに何かを伝えているようだ。
そっと視線を動かし、シトロンくんとユリーカちゃんたちの方を見る。
「シトロンくん。私を成長させてくれてありがとう。お母さんの弟子としての戦い、決着つかないままでごめんね。ユリーカちゃん。私に元気をくれてありがとう。ユリーカちゃんの笑顔は、ジガルデを虜にしちゃうくらいの魅力があるんだよ」
きょとんとしたままの二人をそのままに、私はセレナさんの方を向く。
「セレナさん。私に憧れをくれてありがとうございました。あなたは本当に素敵で強いパフォーマーです。いつまでもサトシと仲良く、お幸せに」
セレナさんは私の言葉に照れながらも、この状況に戸惑っているようだった。
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時