人ならぬ者 ページ17
――私は、人ならぬ者。人間でもポケモンでもない、中途半端な存在だよ
自分に言い聞かせるように、伝える。
『プニちゃん』に語りかけながら、いろいろなことを察していった。この『プニちゃん』はジガルデのコアであること。今からフラダリを成敗しようとしていること。そのために私の力を欲していること。
《話が早いな。余と似ているだけはある》
『プニちゃん』はふと振り向いた。私もそれにならって振り向くと、みんなが伏せた状態から立ち上がる姿が見えた。アランとツドキが神妙な顔で私を見つめている。
『プニちゃん』の目はもう一体のコアに向けられていた。その子はまだ、ユリーカちゃんの腕の中で、覚悟を決めかねているようだ。
――私は人間じゃない。でも、みんなを信じているから、私はみんなを守りたいの
もう一体にも、私の声は届いているはず。『プニちゃん』は私の言葉に大きくうなずいた。もう一体のコアの目つきが変わる。
《この者たちを信じよう!》
《わかってくれたか》
もう一体のコアが返事をすると、『プニちゃん』と共に前線に出る。地面の様子が変わっているところまで進み出ていった。
ユリーカちゃんが心配そうに呼び止めるけれど、バシャーモ仮面……もとい、シトロンくんとユリーカちゃんの父親、リモーネさんがたしなめてくれた。
《余はジガルデ! 秩序を守る者!》
二体のコアの周りにバリアのようなものが現れる。私はそっと目を閉じて、胸の前で手を組んだ。
《見せてやろう! 余のフルパワーを!》
ジガルデのテレパシーが地を駆け巡り、はるか遠くまで行き届く。
《世界は終わらせぬ!!》
目を閉じていてもわかる。緑色の光線がコアの元に集まってくる。凄まじい力が生まれる予感がする。
目を開く。私の目の前に、姿を大きく変えたジガルデが佇んでいた。
「プニちゃん……」
「あれがジガルデなのか……?」
ユリーカちゃんとアランが声を上げる。みんなの疑問に答えたのはゴジカさんだった。
「深き緑の目……これは、そのすべてが、一つになった姿だ」
「すべて……!」
サトシがジガルデに目を奪われながら感嘆の声を漏らす。みんなの時間が止まった。
「まだこんな姿を隠していたとは。貴様も私と同じ世界を見ていたはずだ。人間の際限なき欲望が、平和を乱していく様に、何も感じなかったのか……!」
フラダリもジガルデに目を奪われていた。しかし、そこにあるのは失望。そして、孤独。
私はもう一度強く手を握った。
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時