微かな声 ページ13
「「えぇっ……パパぁ!?」」
急に聞こえた二つの声に振り向くと、バシャーモ仮面の仮面が取れ、素顔を見せた彼に驚いているシトロンとユリーカの姿があった。なるほど、二人の父親は、彼らにバシャーモ仮面であることを伝えずに見守っていたわけか。
「ふふ……バレちゃったかぁ」
どうやら当たりのようだ。
バシャーモ仮面改めシトロンたちの父親は怪我をしたみたいだが、本人いわく「大したことない」こと。彼の身体能力を考えると、確かに大丈夫そうだ。シトロンとユリーカには怪我はない。ほとんどみんな無事だ。
生存確認を行っている間に、既に巨石は起き上がり、次の攻撃を撃ち出そうと構えていた。
「ヤツを止めるには……」
俺が、真っ赤に点滅している水晶に捕らわれているAを抱いたフラダリをにらみつけていると、横からシトロンが重要情報を持ってきた。
「みなさん聞いてください! 巨石を動かしているのは、あの手についているメカが関係しているみたいです!」
さすがは発明家、そういうところにはすぐに気がつくのだろう。信じてみる価値はある。
「それじゃあ、あのメカを壊せば!」
「止まるんだな?」
俺の言葉をサトシが繋いでくれた。
「やってみる価値はあります! でも……」
シトロンの言いたいことはわかっていた。フラダリの腕の中にはAがいる。少しでも標準がずれれば、Aを攻撃してしまうことになる。
どうしたものか考えあぐねているうちに、フラダリが薄ら笑いと共にこちらにそのメカを向けた。攻撃するつもりだ。
「Aを攻撃するわけにはいかない……」
サトシが舌を噛み締める。俺もそうしていただろう。みんなが次なる攻撃に備えた。
しかし、その必要はなかった。
フラダリのメカに触れようと伸ばされた、結晶だらけの震える手。それが、ゆっくりと、でも確かに、フラダリのメカに接触し、きゅっと掴んで動きを止めた。
「もう、やめよう」
微かな声が風に乗って俺の耳に届いた。
「やめようよ、おとうさん」
彼女の二つのまぶたが開かれる。彼女の顔に生えていた水晶が可憐な音を立てて割れていく。
「S……お前、まだそんなことを言うのか」
フラダリの顔に動揺の色が映る。
Aは右目をつむり、力を込めるような仕草をした。みるみるうちに彼女の体の水晶が割れていく。
「私の名前はSじゃないよ……」
Aの体の水晶が一斉に割れる。
「ねえ、目を覚ましてよ、おとうさん」
水晶がすべて割れた。
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時