検索窓
今日:12 hit、昨日:10 hit、合計:22,896 hit

微かな声 ページ13

「「えぇっ……パパぁ!?」」

急に聞こえた二つの声に振り向くと、バシャーモ仮面の仮面が取れ、素顔を見せた彼に驚いているシトロンとユリーカの姿があった。なるほど、二人の父親は、彼らにバシャーモ仮面であることを伝えずに見守っていたわけか。

「ふふ……バレちゃったかぁ」

どうやら当たりのようだ。

バシャーモ仮面改めシトロンたちの父親は怪我をしたみたいだが、本人いわく「大したことない」こと。彼の身体能力を考えると、確かに大丈夫そうだ。シトロンとユリーカには怪我はない。ほとんどみんな無事だ。

生存確認を行っている間に、既に巨石は起き上がり、次の攻撃を撃ち出そうと構えていた。

「ヤツを止めるには……」

俺が、真っ赤に点滅している水晶に捕らわれているAを抱いたフラダリをにらみつけていると、横からシトロンが重要情報を持ってきた。

「みなさん聞いてください! 巨石を動かしているのは、あの手についているメカが関係しているみたいです!」

さすがは発明家、そういうところにはすぐに気がつくのだろう。信じてみる価値はある。

「それじゃあ、あのメカを壊せば!」

「止まるんだな?」

俺の言葉をサトシが繋いでくれた。

「やってみる価値はあります! でも……」

シトロンの言いたいことはわかっていた。フラダリの腕の中にはAがいる。少しでも標準がずれれば、Aを攻撃してしまうことになる。
どうしたものか考えあぐねているうちに、フラダリが薄ら笑いと共にこちらにそのメカを向けた。攻撃するつもりだ。

「Aを攻撃するわけにはいかない……」

サトシが舌を噛み締める。俺もそうしていただろう。みんなが次なる攻撃に備えた。

しかし、その必要はなかった。


フラダリのメカに触れようと伸ばされた、結晶だらけの震える手。それが、ゆっくりと、でも確かに、フラダリのメカに接触し、きゅっと掴んで動きを止めた。

「もう、やめよう」

微かな声が風に乗って俺の耳に届いた。

「やめようよ、おとうさん」

彼女の二つのまぶたが開かれる。彼女の顔に生えていた水晶が可憐な音を立てて割れていく。

「S……お前、まだそんなことを言うのか」

フラダリの顔に動揺の色が映る。

Aは右目をつむり、力を込めるような仕草をした。みるみるうちに彼女の体の水晶が割れていく。

「私の名前はSじゃないよ……」

Aの体の水晶が一斉に割れる。

「ねえ、目を覚ましてよ、おとうさん」

水晶がすべて割れた。

言い切れなかった意味→←正反対で似た者同士



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
23人がお気に入り
設定タグ:ポケモンXY , アラン , 長編   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。