正反対で似た者同士 ページ12
「愚かなことだ」
聞きたくなかった声が聞こえた。俺とリザードン、ツドキはサトシたちよりも巨石に近いところに緊急着陸し、声の主の姿を仰ぎ見た。
「まさか……っ!」
「そんな……だって!」
サトシの驚きの声が聞こえ、それが合図だったのか、大衆の前で演説するかのように、慣れた所作で奴が完全に姿を現す。その腕の中には、大部分を赤い水晶に覆われたAの体が。
「高度な知性と豊かな心を持つ選ばれた者だというのに、どうして選ばれなかった愚かな者どもを救おうとするのか。このように自らの身を犠牲にしてまで、この世界の明日を守る価値があるのか。私には到底理解できない」
フラダリの視線はAに向けられていた。俺たちの方を見ようともしない。
「Aを返せ! あんたが彼女に触れる権利はない!」
俺の叫びで、フラダリは気だるげにこちらを向いた。
「何をもってそれを言う? 私はこの子の父親だ。お前がそんなことを言う権利こそないのだよ」
フラダリは勝ち誇ったかのように笑う。
「タイムリミットは近い。世界の破壊の秒針は止まらない」
Aが止めようとしたその秒針を、この人は加速させようとしている。
「この命と引き換えにしても、私はこの世界を破壊する」
Aは命をかけてこの世界を守ろうとし、この人は命をかけてこの世界を破壊しようとする。
皮肉なことに、二人は親子だ。正反対で似た者同士の思考。
「フラダリ……お前って奴は……!」
サトシが俺の近くまで駆け寄ってきて、フラダリに敵意を向ける。フラダリはAを抱えたまま右手に備え付けたメカを俺たちの方に向け、冷徹な視線を浴びせた。
「破壊のカウントダウンは止められない!」
「来るわよ!」
「ひかりのかべ!」
巨石から暴力的なまでの光線が発射された。
マーシュさんがすぐにシュシュプにひかりのかべを指示してくれた。そのおかげで、かなり威力は軽減させているはずなのに、なんだこの強烈な衝撃は……!
リザードンの羽に守られていても、体に受ける威力が凄まじくて、全身が痛い。みんなそれぞれ自分の身を、余裕のある者は近くのパートナーの身をかばうけれど、全員が険しい顔をして堪えていた。
衝撃の余波がなくなり、やっと動けるようになったとき、辺りを見回すと今までの形勢が一気に逆転されたことを痛感させられた。
マノンは親父とプリムに守られ、キリナはシトラスさんに守られて無事だったようだ。
そんな中、驚きの声が響いた。
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名稀ーなきー(プロフ) - 最後まで読ませていただきました!最高です(><) (2023年1月21日 22時) (レス) @page50 id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - マナさん» こんばんは!大変返信遅れてしまい申し訳ありません。質問大丈夫ですよ!どのようなことでしょうか? (2021年6月19日 23時) (レス) id: fb3c4754d3 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 頂志桜(サム)さん» こんばんは…!質問していいですか? (2021年6月17日 20時) (レス) id: 080dd1eb98 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ミラさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて、うれしい限りです。ここまで辿り着けたのは皆様のおかげです。本当に、ありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: b07a161332 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 四年間、お疲れ様でした!面白いストーリーをありがとうございました! (2020年2月14日 21時) (レス) id: 741f87e9ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2020年2月1日 8時