p28. 砂糖を吐くかと ページ31
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今日は遠征へ行った。相手は大阪の強豪校。俺が1軍に入って初めての遠征だったので、らしくなく少し気分が高揚した。まあ、俺は所謂隠し玉だから、さほど試合には出してもらえなかったが。
ところで赤司だが、あれから『日頃の労い作戦』は悉く失敗し、結局いつも通りに大槻を怒らせるだけに終わった。大槻は赤司が失礼なのは今に始まったことではないのでと殆ど気にしていなかった(それはそれで憐れである)。
しかし神様はまだあの何様俺様アホ司様を見捨ててはいなかったらしい。
7時に学校へ集合し、学校のバスに乗り込んで7時10分に大阪目指し出発。バスに乗る前まではいつも通り普通だった大槻が、走り始めて3分程経った頃、顔を真っ青にさせて窓に頭をもたれかけさせていた。
ちなみに席順は座席の1番前の窓際から大槻と赤司、その反対側に俺と樋口、赤司の後ろに実渕と葉山、俺の後ろに根武谷が一人で座り、その後ろにその他1軍とマネージャー達、といったもの。
大槻の様子に逸早く気付いた赤司がどうしたのかと聞くと、大槻は「酔った」と答えた。どうやら大槻は乗り物酔いしやすい性質で、バスでの移動は特に苦手らしい。走行5分目にてもうグロッキー状態で、大阪までは高速に乗っても1時間半はかかると言えばいよいよ大槻は動かなくなった。
「酔い止めの薬は持っていないのか?」
「一々持って来るかいんなもん…毎回毎回バス乗る度に飲んでられへんわ…」
「軟弱だな」
「…るせー…しね…」
「吐き気は?」
「ない…吐いたら楽になるんやけど、吐くほどでは…」
樋口が酔い止めの薬を用意していたので、それを赤司に渡してやる。
「ほら、飲むんだ」
「…ん」
「玲央、座席を少し倒すぞ」
「いいわよ。Aちゃん、大丈夫?」
「うぃ…」
「おーおー、大変そうだな」
「大槻ってバス苦手だったんだなー!」
「うるさいぞ小太郎」
「なんで俺だけ!?永ちゃんも喋ってたじゃんー!」
赤司が世話を焼いている…だと……吐きそうだ。俺が吐きそうだ(大事な事なので2回)。しかもちょっと嬉しそうにしてて余計に気持ち悪かった。
そのうち薬が効いてきたのか規則正しい寝息が車内に響いて、空気が少し和らいだのを感じた。先程の苦しそうな表情は消え失せ、顔色も戻っているのを見た赤司は、寝ている大槻の頬を指先で擽り、優しげに微笑んだ。
コイツこんな表情が出来たのか、と少し驚いた。
その優しさを普段の大槻にも使ってやれば良いのに。
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p29. 世紀末の世代→←p27. アホ司に付ける薬はなかった
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かばん - 番外編の『ナニは入ってません』でクソワロタンバリンシャンシャンw (2019年7月1日 18時) (レス) id: bbcce8e0e4 (このIDを非表示/違反報告)
ししざ(プロフ) - 更新プリーズ (2019年6月4日 19時) (レス) id: f750d8e997 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - めっちゃ面白いです!笑いが止まりません!続き楽しみにしてます! (2019年3月22日 21時) (レス) id: a6be0e3a0d (このIDを非表示/違反報告)
松村ユノ(プロフ) - 赤司のキャラ崩壊っていつ見ても笑い疲れる() (2018年5月6日 15時) (レス) id: 645b0b4b0b (このIDを非表示/違反報告)
れもん - チート赤司様があわててるとこがギャップでかわああですね (2018年4月2日 17時) (レス) id: 4b5f57253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁樹 | 作成日時:2014年12月5日 19時